なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

後腹膜腫瘍

2020年05月26日 | Weblog

 今日は地域の基幹病院から2名の患者さんが転院してきた。

 1名は脳梗塞(出血性梗塞)の90歳女性で、5月連休明けの発症だった。経口摂取は困難で、意識障害が遷延していた。末梢の点滴で経過を診て下さいという依頼だった(これまでと同様のあっさりとした対応)。行うとすれば高カロリー輸液だが、家族にお話して相談してもらうことにした。

 もう1名は泌尿器科からの紹介で、後腹膜腫瘍の60歳代後半の女性だった。先週、腎尿管結石・閉塞性腎盂腎炎の患者さん2名を搬送した。ひとりは敗血症性ショックで集中治療が必要だったが、もう一人は尿管ステント挿入の処置後に戻される可能性もあり、その日の午後に泌尿器科医から電話が入ってドキッとした。

 内容は搬送した患者さんのことではなかった。後腹膜悪性腫瘍の患者さんがいて緩和ケアを行っているが、転院で診てもらえるかという問い合わせだった。これまで泌尿器科から悪性腫瘍での転院は(たぶん)なかった。

 医療用麻薬が点滴で入っているということだった。基幹病院の他科から緩和ケアの転院依頼はよくあるので普通に引き受けたが、電話口の様子では喜ばれたようだ。

 今年の3月に水腎症とそれに伴う痛みで、開業医から泌尿器科に紹介されていた。造影CTで右後腹膜に巨大な腫瘍があり、右尿管を巻き込んでいた(下大静脈も巻き込んでいる)。尿細胞診は陰性で、組織・細胞検査は困難のため、原発不明の悪性腫瘍として外来で経過をみていたようだ。

 今回は5月半ばに尿路感染症で他の病院に入院したが、腫瘍があることや尿道ドレナージを要するかもしれないことから、泌尿器科に転院となっていた。一時的に腎瘻造設をしていたが、その後は抜去している。

 癌性疼痛に対する治療としては、オキシコドン(オキファスト)持続皮下注が施行されていた。食事摂取もほとんどできていないが、点滴はしてなかったようだ。来てみると上腕に点滴できる静脈があり、病棟看護師さんは点滴できるじゃない、と言っていた。末梢の点滴とオキシコドンの持続静注で経過をみることにした。

 後腹膜腫瘍はこれまで診たことがない(はず)。患者さんの夫は昨年悪性リンパ腫で亡くなった患者さんの弟さんで、「お久しぶりです、今度は妻です」ということになった。(同院の腫瘍内科からの紹介だった)

 送られてきたCDに入っていたは3月のCT像のみで、それから2か月経過しているので、こちらでも明日CTで確認することにした。

 

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