なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

びまん性細気管支炎

2020年05月12日 | Weblog

 昨日の当直帯(当直医は耳鼻咽喉科)で呼吸困難の91歳女性が救急搬入された。

 2年前には心不全として循環器科の入院していたが、肺性心もあるが、基本的には肺疾患だった。高二酸化炭素血症があり、2年前はNPPVで治療して軽快していた。

 ずっと以前に乳癌の治療をしていて、担当医が開業した後は、そちらの外来に通院していた。気管支喘息とされていたようだ。

 両側肺にびまん性に粒状影の散布があり、気管支拡張症も伴っていた。呼吸器外来(大学病院から出張=バイト)にコンサルトされて、びまん性汎細気管支炎(DPB)と診断された。退院後は、呼吸器科外来に通院していた。

 昨日の内科当番だった内科の若い先生に連絡が行って、内科入院になっていた。前回循環器科(時間外のオンコール体制なし)に心不全で入院したことから、循環器科に連絡して、心不全で循環器科の扱いに替えてもらっていた。早速NPPVが開始された。

 BNPは218で、ふだんは50程度なので上昇はしているが、基本的には慢性呼吸器疾患の肺炎発症による増悪だった(肺性心がなくはない)。まあ循環器科の方がNPPV管理は慣れている。

 呼吸器科外来で検査した感染症がない時の肺画像を確認した。両側肺野(特に中下肺野)にびまん性に粒状影の散布がある。気管支拡張症も伴っているが、両者とも慢性副鼻腔炎と関連しているので併存してもいいのだろうか。気管支拡張症からみると、非結核性抗酸菌症の有無が気になる。

 以前当院に呼吸器科常勤医がいたころにDPBの症例があった気がするが、最近は見たことがなかった。

 気管挿管・人工呼吸まではしない方針になっている。NPPVと抗菌薬で回復するだろうか。

 

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胸部単純X線ではわかりにくい

2020年05月12日 | Weblog

 月曜日に内科再来を診ていると、外科医から連絡がきた。大腸癌の術後再発(腹膜播種)で化学療法をしている50歳代後半の男性が、肺炎になっているという。

 胸部X線・胸部CT検査と血液検査が行われていた。右肺のS10に浸潤影を認める。白血球4900・好中球60.0%でCRP9.4だった。このくらいなら外来治療でいけるだろうと思った。

 その日は地域の基幹病院呼吸器内科の若い先生が内科外来に来ていたので、外科のコンサルトをお願いした。当方が診るよりは信用されそうだ。

 症状は前日からの右背部痛(胸膜痛)が出現して、微熱もあった。咳は出ないそうだ。

 ニューキノロンで外来治療が開始された。オグサワ(オーグメンチン+サワシリン)でもよさそうだが、癌化学療法中ということを考慮された?。外科医はβ-d-グルカンやカンジダ抗原も提出していた。

 それにしても胸部単純X線(正面)では肺炎像を指摘しがたい。見る人が見れば横隔膜陰影のところに指摘できるのだろうか。側面のX線があればわかるかもしれないが、側面を追加するくらいなら(血液検査の炎症反応亢進で肺炎が疑わしい時は)胸部CTで診た方がわかりやすい(推奨はできないが実践的)。

 

 

 この若い先生は大学病院の所属だが、人数分の給与が出ないために、数か月交代で市中病院に出向するという形になっている。週1回は当院に来てもらって、その分の給与を当院も負担する。現在当院に来ている腎臓内科の若い先生も同じ立場になる。大学での研究生活も大変だ。

 

 

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