なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝膿瘍

2020年05月29日 | Weblog

 月曜日に69歳男性が発熱で救急搬入された。2-3日前から39℃の発熱があり、その日かかりつけの内科クリニックを受診して、胸部X線で肺炎はないといわれたそうだ(血液検査はその日には結果がでないのだろう)。

 抗菌薬(アベロックス)を処方された。解熱薬(アセトアミノフェン)を内服したが、40℃の発熱で動けなくなり、救急要請していた。救急当番だった内科の若い先生が対応した。

 昨年の10月にも高熱で地域の基幹病院を受診して、CTなどの検査を受けたが原因不明といわれたそうだ。外来治療で抗菌薬(レボフロキサシン)内服で3日で解熱していた。その後は特に症状はなかった。

 炎症反応上昇(白血球が6600で翌日11000、CRPが23.0で翌日27.9)があるが、肺炎像や尿混濁はなかった。腹部単純CTで嚢胞様の腫瘤像を認めた。肝膿瘍疑いとして造影すると、壁肥厚と周囲の炎症像を認めて肝膿瘍だった。腹部MRIでも(嚢胞感染も考慮してMRIも入れた)拡散強調画像で高信号域を認めた。

 抗菌薬投与で解熱と発熱を繰り返していたが、昨日からは解熱が続いている。このまま治療継続で軽快が見込める。通常の抗菌薬に反応しているので細菌性(化膿性)肝膿瘍になる。胆道系の異常や腸管の炎症から門脈系を介して膿瘍を来すような異常も認めないが。

 外来で血液培養2セットを提出しているが、まだ菌は出ない(おそらく出ないのだろう)昨年10月の原因不明の発熱も関連しているのだろうか。

 

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