なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心不全の増悪

2020年05月18日 | Weblog

 内科外来(再来)を開始しようとすると、外来看護師さんが89歳男性が予約外で来ているという。数日前に転倒して、近医(整形外科)を受診して、腰椎圧迫骨折と診断された。その後から食事摂取ができなくなっているそうだ。

 施設から家族に病院を受診させるよう連絡が行って、家族が連れてきたのだった。外来に処置室に横臥していて、手足の冷感がある。血圧が80mmHg台と低下していたが、酸素飽和度は94~97%とれていた。胸部にcoarse cracklesが聴取される。両下肢の浮腫はなかった。

 

 前回は入所している施設から、尿路感染症疑いで当院泌尿器科に紹介された。尿路感染はあるが(無症候性細菌尿かもしれない)誤嚥性肺炎もあり、内科に紹介となって入院した。何とか治って3月下旬に施設に戻っていた。

 一昨年は心房細動・心不全で循環器科に入院した既往があった。肺炎で入院した時には洞調律になっていたが、循環器科の処方を継続していた(エリキュース、ダイアート、ビソプロロール少量)。心不全の悪化はなかった。

 

 尿閉で尿カテーテルが留置されていて、尿は混濁していた。細菌尿は無症候性か尿路感染ととるか、むずかしい。また誤嚥性肺炎だろうか。

 救急室に移動して、点滴を開始して血液ガスを含めて採血した。酸素分圧65.6mmHg(室内気)と案外保っている。胸部X線・CTでは両側胸水貯留が目立つ。肺炎もあるかもしれないが、心不全の増悪がメインだった。

 検査室からBNP1371と連絡がきた。心筋原性酵素の上昇があるが、心電図では洞調律(60台/分)で、以前と比較して明らかなST-T変化はなかった。うっ血肝と思われる肝障害が目立つ。

 心エコーを検査室に依頼して、循環器科医に相談に行った。心不全増悪として循環器科入院にしてもらった。心エコーの結果をみると、EF25~30%(一昨年も同程度)で、左室の収縮は全体的にhypokinesiaだった(本当に心もとない収縮)。

 前回の心不全の増悪も、腰椎圧迫骨折で整形外科に短期間入院した後に起きていて、何故か同じ経過だった。

 

 土曜日に日直で出て、そのまま泊まっていたので、1週間ずっと病院にいたことになる。ひどく忙しくはなかったが、気分的に疲れている。今週は地域の基幹病院の各科から、火曜日に3名、木曜日に2名転院してくる。4月末から転院依頼が短期間途絶えていたが、また増えてきた。

 中外医学社の「ここが知りたい!」シリーズに「腎臓病診療ハンドブック」が新たに加わった。このシリーズは項目ごとに症例が入っているのでわかりやすい。定番の糖尿病診療ハンドブックを読み返しているので、終わったらそちらに進みたい。

ここが知りたい!腎臓病診療ハンドブック

 

 

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