昨日の午前中に、60歳半ばの男性が脱力で救急搬入されていた。救急当番の外科医から内科の若い先生が呼ばれていた。著しい低カリウム血症(1.8mEq/L)で筋力低下があり、動けなかった。どうしましょうか、と言われたが、入院でカリウム補正をするしかない。
この患者さんは、新型コロナウイルス感染症の影響で土建業の仕事がなくなり、1か月自宅にいたそうだ。アルコール多飲(自称日本酒3~4合/日)があったが、お金がなくなって(借金もある)飲めなくなっていた。食事もとれず、1か月水だけ飲んでいたそうだ。さらに下痢もしていた。
土建業者の社長が解雇を告げに自宅に行って、動けなくなっているのを発見して救急要請したという皮肉な状況だった。
離婚していて、親兄弟もほとんどいない。子供とも疎遠で、唯一叔母に連絡がとれるらしいが、高齢すぎて頼りにはならない。MSWを通して行政にかかわってもらうしかない。
カリウム補充を点滴と内服で開始した。ビタミンB1の外注検査を提出して、ビタミンも補う。治療のし甲斐はあるし、教育的な病態ではある。