なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「事例でわかる 死亡診断書・死体検案書記載の手引き」

2020年05月15日 | Weblog

 昨夜、自宅で首を吊った40歳前半の女性が救急搬入された。心肺停止・瞳孔散大で、すでに体温も下がっていた。救急隊が心肺蘇生をして搬入して、当直の外科医が心肺蘇生を継続したが、残念ながら反応はなく死亡確認に至っている。

 夫は仕事で出かけていて、家にいた子供さんが首を吊っているのを発見した。すぐに父親(患者さんの夫)に電話すると、ロープを切って心臓マッサージをすることを伝えて、自分は救急要請をして自宅に向かったという。適切な指示だった。

 

 今年の年始の休日中に救急外来を受診して、その時に当方が一度だけ診察していた。精神科医院にうつ病で通院していて、抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬が処方されていた。自分で多めに内服してしまうため、抗不安薬と睡眠薬が休み明けまで足りないので、その分を処方してほしいという。

 また椅子に座った状態でけいれんが起きたとも言っていた。患者さんを連れてきた夫に、その時の状況を訊いた。時々なるらしいが、椅子から落ちたりはしないという。てんかん発作も否定できないが、心因性非てんかん性発作のように思われた。

 数日分の薬を追加して、休み明けに通院している精神科医院を受診するように患者さんと夫に伝えた。うつ病という話だが、雰囲気からは境界性パーソナリティ障害の印象をもった。

 

 「事例でわかる 死亡診断書・死体検案書記載の手引き」岩瀬博太郎編(医歯薬出版)が出た。1997年に出版された前著の改訂版に当たる。病院の救急室においてあるが、自分でも購入していた。20年以上経過しているので、買い替えた。

 死亡診断書・死体検案書記載の具体例と注意が書かれている。前の本では、死因が「縊死(短時間)」と記載されている。その原因についての記載はなく、手段及び状況の欄に「ビニール紐をタンス扉にかけて首吊り」、付言すべきことに「遺書らしいものがあった」と例が書かれている。

 今回の本では、死因が「縊頚(短時間)」になっていて、付言すべきことに「警察と情報を共有した旨」を記載している。溺れた場合は「溺死」になるので、「縊死」の方がいいような気はする。(ちなみに、この本を開くのは「縊死」の縊の字を確認する必要があるため)

事例でわかる死亡診断書・死体検案書記載の手引き

 

 

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