なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大球性貧血

2019年07月20日 | Weblog

 金曜日の午後に、クリニックから貧血の76歳女性が紹介されてきた。紹介してきたのは、以前当院の循環器科にいて、開業した先生だった。「Hb6.9g/dlなので、輸血でも」と言われた。「MCVは?」と訊くと、「大球性」だった。ただしMCV111と微妙な値で、巨赤芽球性貧血とは言い難い。

 受診してきた患者さんは倦怠感はあるらしいが、労作時の息切れもないという。患者さんとすれば、検査の結果で貧血と言われただけで、特に困ってはいない。入院する気は全くない。

 高血圧症・僧房弁閉鎖不全症があるので、それに貧血が加わると労作時の息切れはありそうなものだが、身体の動きは良かった。年齢の割に元気な方だった。夫と農機具のお店を経営しているが、高齢なのでそろそろ店を閉めることを考えているという。

 2016年まで当院に通院していて、2015年がHb13.4g/dl、2016年がHb12.3g/dlでMCVは正常域にある。クリニックに行くようになってからは、2017年が11.5g/dl、2018年11月がHb10.6g/dlだった。時系列でみると、一連の変化と解釈される。

 検査の形として、血清鉄・血清フェリチンを検査したが、正常域だった。血清ビタミンB12も外注検査に提出したが、この方は脊柱管狭窄症で整形外科からメチコバールの処方を受けている。悪性貧血でも、経口投与で充分補充されるくらいなので、血清ビタミンB12が低下しているはずはない(無駄な検査か)。

 白血球・血小板は正常域で、分画に有意な異常はないようだ(相対的リンパ球増加あり)。肝機能検査はLDHも含めて正常域で、甲状腺機能も正常だった。1系統のみの異常だと、骨髄異形成症候群が疑われる。

 消化管出血の有無は見ておかないとまずいので、週明けに上部消化管内視鏡検査を行って、便潜血検査も行うことにした。便潜血検査が陰性であれば、大腸内視鏡検査は省略してもいいか。

 骨髄での血液の作り方がおかしいので、血液内科に紹介したい、と患者さんに伝えた。ちょっと遠方にはなるが、車で連れてきてくれた夫に頼むと、行けなくはないようだ。

 

 

 

 

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