なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

悪性リンパ腫

2019年07月05日 | Weblog

 「 97歳男性が風呂掃除をしていて、脱力で起き上がれなくなった。同居の妻が息子などに連絡してようとしたが、なかかなできず、結局3~4時間そのままになって低体温も併発してから救急搬入された。

 発症は不明だが、おそらく骨格筋の炎症を来す疾患があったらしい。原因を特定できるかどうかわからないが、経過をみることにした。以前にも同様の高齢者がいて、多発筋炎の診断が確定しなかったが、ステロイドで軽快した方がいた。CTで膵臓に腫瘍もありそうで、なかなか難しい症例だった。」

(6月30日に救急搬入された97歳のその後)

 筋原性酵素は低下してきて(CK3718から433へ)、炎症反応も軽減してきた(CRP16.3が6.3へ)。抗核抗体・抗ARS抗体は陰性だった。骨格筋障害の原因は不明だったが、軽快しているのでそのまま経過をみることにした。

 問題は膵癌かと思われた。膵頭部から大動脈周囲の不整な腫瘤だった。血清クレアチニン正常後に造影CTを行ったが、膵癌ではなかった。多数の結節が集簇している。CEA・CA19-9は正常で、血清IL-2受容体抗体が2750と上昇していた。

 生検できる表在リンパ節がないので、画像診断で判断するしかないが、悪性リンパ腫相当だった。血液内科の範疇だが、リンパ腫の場合が生検での診断がないと進まない。年齢的にもっと若ければ、何とかして生検を行って(腹腔鏡下?開腹?後腹膜なので難しい)、組織診断をつけるのだろうが、97歳だとどうか。

 上腹部のもたつきを訴えたりもしたが、その後軽快して食事摂取はできる(PPI+モサプリド処方)。胃原発の悪性リンパ腫の可能性もあり、上部消化管内視鏡検査を来週することにした。

 希望があれば、がんセンターの血液内科に紹介するが、治療は難しいだろう。ステロイド少量を投与してみたいが、筋障害の経過をもう少しみてから決めることにした。腫瘍随伴?。

 

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