なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

副鼻腔気管支症候群

2019年07月28日 | Weblog

 内科外来に高血圧症・糖尿病で通院している87歳女性は、右中葉の肺炎を繰り返していた。地域の基幹病院呼吸器内科に紹介されたこともあったが、誤嚥でしょうといわれたそうだ。

 普段も咳・痰が出没していた。当地で夫と生活していたが、介護していた認知症の夫が施設に入所した後、一人暮らしをしてから自身もケアハウスに入所した(食事・入浴のサービス付きアパート)。

 今回は1週間前から痰がからみ、普段より多かったそうだ。ケアハウス内の食堂で、痰を出そうとして咳込むが、周囲の人たちに遠慮して抑えたりしていたという。

 先週内科外来を予約外で受診した時に、通常の内科新患ではなく、その日あった呼吸器外来(大学病院からのバイト)に回された。担当医はこれまでの画像と経過をみて、副鼻腔気管支症候群を疑った。

 肺炎を繰り返している右中葉は不整な気管支拡張があり、器質化した陰影がある。確かに気管支拡張症といえば、慢性副鼻腔炎関連になる。

 紹介された耳鼻咽喉科医(大学病院からのバイト)は診察所見からは膿性鼻汁の流出が見られず、副鼻腔炎といいがたいという判断だったが、紹介でもあるので副鼻腔のCTをオーダーした。

 そのころから発熱もあったそうだが、週明けの月曜には内科再来の予約日で、副鼻腔CT(受診のついでとして)はそこに合わせて入れていた。糖尿病なので毎回血液検査が入っている。白血球数は正常域だったが、追加したCRPが上昇していた。

 胸部X線でこれまでまもっぱら右肺の陰影だったが、初めて左肺に陰影があった。放射線科に連絡して、副鼻腔のCTを副鼻腔~胸部CTにしたもらった。確かに左肺炎で、右肺はふだんと変わらないようだ。

 そして副鼻腔はというと、両側の上顎洞内に液体(膿性鼻汁)が充満していた(他の副鼻腔にも軽度にある)。副鼻腔気管支症候群なのだった。普段副鼻腔の症状は自覚していないそうだが、後鼻漏は続いていたはずだ。

 耳鼻咽喉科の再来予約は当院の常勤医の枠になっていた。CT像を確認して、「肺炎治癒後に、(14員環)マクロライドの少量長期投与か」と記載していた。

 肺炎は抗菌薬投与(セフトリアキソン)で軽快している。副鼻腔気管支症候群としての治療で、肺炎が発症を減らせる可能性が出てきた。呼吸器科に来てもらっている先生には、これまでもいろいろ教えてもらってきた。もっと早く相談すればよかったことになる。

 

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