食べられない動けないとして入院した85歳女性は、点滴して嚥下訓練をすると、案外食事摂取できた。嚥下調整食を上げていって、全粥刻み食が食べられるようになった。寝たきり状態で、1か月以上入浴もなく、ほとんど老衰状態だったので、順調な経過といえる。高齢の兄との同居で兄の娘(姪)が介護していたが、在宅介護は困難なので、後は施設入所に持っていく手筈となった。
救急搬入された時に膀胱内に尿が大量に貯留しており、入院後も自尿がないので、尿カテーテル留置となっていた。食べられるようになって、リハビリを進めていくのに支障があるので、今朝いったん抜去した(自尿がなければ再挿入)。オムツに多少尿が出ていたが、尿量が少ないと思っているうちに、悪寒戦慄が出現した。
酸素飽和度の低下もなく、今のところ血圧低下もなかった。咳・痰は特になく、尿路感染症が疑われた。導尿で混濁した尿が排出された(尿カテーテル留置だったので当然だが)。
導尿で尿一般沈査と培養用の検体を提出した後に、せっかくなので、そのまま膀胱内の尿を全部出すことにした。尿取りパットとオムツで吸収しきれないかと思うくらいの排尿があった。認知症があり、下腹部痛の有無を訊いてもわからない(少なくとも激痛はなかった?)。
尿路感染症であれば、尿カテーテルがない方がいいが、尿閉で排尿できなくて上流への逆流が疑われるのであれば、排尿させた方がいいのだろう。というか、尿閉が続けば感染症があっても尿カテーテルを留置するしかない。
認知症で処置の時に暴れてしまうので、看護師さん3名で対応して、尿培養と血液培養2セットを提出した。カテーテル関連尿路感染症なおで、ファーストシンで開始した(当院は第4世代セフェムはマキシピームがなくてファーストシン)。
カテーテル関連尿路感染症だと、それまでの尿カテーテルを抜去して、(留置の継続が必要なの時は)新規に尿カテーテルを挿入して培養用の尿を採取するので、同じことではあった。