なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血液培養はえらい

2019年07月09日 | Weblog

 先週末に循環器科医から、入院している88歳女性のことで相談を受けた。sの方はクロストリディウム・ディフィシル感染症(CDI)の治療をしていた。メトロニダゾールで腸炎症状は軽快していた。

 再度発熱がみられて、CDIの悪化ではなく、尿混濁があって尿路感染だと思っているそうだ。相談した理由は、前に使用したセフトリアキソンでCDIを起こして治療しているので、CDIを悪化させない抗菌薬はないか、ということだった、

 病棟に行って診察したが、発熱に関して有意な所見はなかった。少なくとも関節炎・蜂窩織炎はない。尿培養だけ提出していたので、普通にfever work upをしてもらった。胸部X線と血液培養2セットを追加してもらった。

 院内の尿カテーテル関連尿路感染症なので、通常はSPACEカバーになる。尿路感染症で良ければ、嫌気性菌カバーは不要なので第4世代セフェム(当院はファーストシン)で開始して、尿培養の結果をみてde-escalationして下さいとお話した。

 今日、血液培養2セットから表皮ブドウ球菌(MRSE)が検出されたのでPICCカテーテルを抜去してその後は解熱している、と言われた。てっきり末梢からの点滴かと思い込んでいたが、PICC(上腕から)だった。つまり最初からカテーテル関連血流感染疑いなのだった。

 正しくはバンコマイシン点滴静注を開始して、数日後にトラフ値測定と血液培養2セット再検を行って、血液培養陰性化から14日以上の投与が必要だ。ブドウ球菌なので、感染性心内膜炎疑いで心エコーを行って、必要があれば化膿性椎体炎・椎間板炎疑いで腰椎MRIも行う。

 カテーテル抜去で解熱したのでそれで終わりにしたいような話しぶりだった。表皮ブドウ球菌だと案外それで治まってしまったりする。型通りに検査治療を行ったほうがいいのだが。

 

 

 

 

 

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