なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膀胱尿管逆流症

2019年07月08日 | Weblog

 昨日の内科日直だった消化器科医が、急性腎盂腎炎の24歳女性を入院させていた。血液・尿検査と尿培養を提出したが、頭痛を訴えていたのが気になったらしい。髄液検査をしてからでないと抗菌薬投与はしない方がいいと判断して、点滴だけで経過をみていた。

 今日血液培養を提出した。頭痛があるが、意識はまったく正常で、腎盂腎炎の高熱に伴うものだろう。髄液穿刺の経験数が多い内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)も、これはしなくても、ということだった。

 高熱と悪寒戦慄からみて菌血症になっているので、さっそく抗菌薬を開始した(結果的に1日もったいないことをした)。通常だったら、セフトリアキソンで開始して、尿培養からは大腸菌が掲出されてという経過になるが、この方は特殊だった。

 急性腎盂腎炎を繰り返して、2年前に泌尿器科(当院は非常勤医のみ)で行った膀胱尿管造影で膀胱尿管逆流症と診断された。泌尿器科常勤医のいる病院に紹介されて、その手術を行っていた。手術は片方だけ行ったそうだ(たぶん程度の重い左側だろう)。

 ただ術後にも腎盂腎炎を繰り返している。腹部エコーで左腎では目立たないが、右腎の腎盂は拡張(水腎症)して、尿管も拡張(8mm)していた。(左側を手術したとすれば)右も手術しないとだめなんじゃないだろうか。

 昨日提出した尿培養検査のグラム染色の結果を、細菌検査室に訊いてみた。グラム陽性球菌・陽性桿菌が検出されて、陽性球菌は腸球菌らしいという。これは、すんなりとは治らないかもしれない。

 (後日記)

 複雑性尿路感染症(腎盂腎炎)としてゾシン(PIPC/TAZ)で開始したが、尿培養からは腸球菌(ABPC感受性)が検出されてビクシリン(ABPC)に変更した。入院時よりは解熱傾向にある(食事をとり始めていた)。手術をした病院の泌尿器科に連絡すると(地域医療連携室を通じて診療情報提供書をFAX)、診てもらえることになたので、転院とした。

 

 

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