なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺血栓塞栓症

2019年07月12日 | Weblog

 昨日の当直は循環器科の若い先生だった。午後6時過ぎに、クリニックから肺血栓塞栓症疑いの64歳女性が紹介されていた。

 3月から息切れがあり、今日はそれがひどくなって咳が出ると訴えてクリニックを受診している。その経過であれば、ある程度慢性に経過してから悪化したのだろうか。胸部X線で肺野に明らかな異常を認めず、肺動脈の拡張が疑われることから、肺血栓塞栓症疑いとされていた。

 血圧127/69mmHg、脈拍100/分、酸素飽和度93%(室内気)と案外バイタルは保たれていた。よくそのくらいで済んだものだ。

 心電図で教科書的な所見を認めた。右軸偏位(R/S>1、aVF R/S<1)、右室肥大(RV1>8mm、R/SV1>1、R/SV6<1)、不完全右脚ブロック、SⅠQⅢ(Ⅰ誘導の深いS波、Ⅲ誘導のQ波)、(Ⅱ)・Ⅲ・aVF・V1-5の陰性T波を認める。

 心電図の自動解析が自信を持って(?)「右心系に負荷がかかっている可能性があります。原因の究明をおすすめします。」と表示するほどだった。あった。なかなかここまで典型的な心電図はないので、記念にとっておきたい。

 造影CTでは右肺動脈に巨大な血栓があり、左右肺動脈末梢にも塞栓像がある。膝窩静脈に血栓を認めて、深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症と診断された。イグザレルト30mg/日で治療が開始されていた。

 

 

 紹介したのは以前当院の循環器科にいた先生だった。いったん循環器科不在となり、昨年からまた循環器科が復活したが、マンパワーの問題で時間外の対応はできない。

 今週医師会講演会で会った時に、「循環器科に時間外も対応してほしい」と言われた。その先生がいた時も、時間外はよほどタイミングがいい時しか対応してなかったが。(循環器科医が当直で、もうひとりもまだ院内にいた、あるいは呼び戻せた時など)

 

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