先月初めに、がんセンターから悪性リンパ腫の緩和ケア継続目的で75歳の男性が転院してきた。右鎖骨下静脈にCVポートが留置されていた。やせて色が変に黒い。高カロリー輸液を行われていて、もともと関節リウマチで投与されていたステロイドも注射で入っていた。
嚥下訓練を行ったが、経口摂取は無理だった。点滴だけで最期まで経過をみることになるが、高カロリー輸液の継続なのかは悩むところだ(状況的には継続)。
あまり変化なく過ごしていたが、先週末から発熱が見られた。明らかな肺炎はなかった。尿混濁があるが、尿カテーテル留置なので何とも言えない。CVポートの感染も疑われた。
血液培養2セットと尿培養を提出して、いずれからも黄色ブドウ球菌(MSSA)と腸球菌(Enterococcus faecalis)が検出された。CVポート感染だろう。
CVポート抜去について外科医に相談したところ、すんなり抜けるとは限らないので、外科が手術室で行うと言われた。組織との癒着があると、剥離の処置を要するが、幸いにすっと抜けたそうだ。
尿路感染症疑い(院内感染、免疫不全状態)でファーストシンの投与を開始していたが、解熱傾向にあったので、それが効く菌かと思ったが違った(MSSAには効いていたが)。薬剤感受性に合わせてビクシリン(ABPC)に変更した。セファゾリンやビクシリンは現在出荷規制がかかっていて、院内に在庫はあるが、継続した供給が保障されないため、入力するとアラートが出る。