なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

難聴で伝わらない

2019年07月30日 | Weblog

 内科外来に高血圧症などで通院している77歳女性が7月2日に心窩部痛で受診した。難聴でなかなか会話が難しいのと、軽度だが認知力低下もあり、症状が伝わりにくい。

 その時点で発熱はなかったが、血液検査で白血球8100(ふだんは5000~6000)・CRP14.3と上昇していたため、診察した先生は胸腹部X線の後に、CT検査を追加していた。腹部には特に所見はなかった。泌尿器科クリニックに通院して、経口セフェムが処方されていたので、炎症反応は尿路感染を反映したものと判断したらしい。通常のスライスではわかりにくいが、矢状断でみると右肺下葉に浸潤影があった。(胸部X線でも右肋骨横隔膜角がdullだった)

 その後7月22日にまた心窩部痛を訴えて受診した時は、消化器科に回された。腹部エコーで肝臓の横隔膜に面する側に少量の液体貯留(腹水)を指摘された。腹部CTを追加して、少量の胸水と横隔膜をはさんだ肝表面に液体貯留があるようだ。

 白血球8000・CRP12.1とほぼ同様の炎症反応があった。内服の抗菌薬(AMPC/CVA+AMPC=オグサワ)が1週間分処方された。患者さんの話では、4日内服したが、かえって腹痛が出たのでやめたそうだ。

 7月29日内科再来をしていた時にこちらに回された。耳元で大きな声で訊いて、わかる時とわからないので何度も繰り返さないと会話はできない。時間をかけて、何とか経過がわかった。

 それによると、7月初めからかその前(6月下旬)から右側胸部が痛かったらしい(心窩部痛ではない)。呼吸性(吸気時)に痛かった。咳と痰も量は多くないがあり、体温測定はしていないが微熱(熱感)はあった。ただし、病院での表現は「腹が痛い」で、呼吸器症状については言わなかった。

 胸腹部CTを見かえすと、右下葉肺炎が胸膜にかかっているので、症状としては合うようだ。血液検査を再検すると、白血球5100・CRP1.5と軽快していた。右肋骨横隔膜角の鈍化も軽減してきている。右側胸部痛は軽減していた。4日の抗菌薬で改善したので、丈夫な人(免疫力充分)なのだろう。

 独居(夫はすでに亡くなって子供はいない)なので、軽度の肺炎でも入院させた方が無難な人だが、今さら入院もない。住んでいる地域は週2回しかバスが出ないので、それに合わせてもう1回フォローに来てもらうことにした。それにしても、肺炎・胸膜炎で横隔膜をはさんだ肝表面に炎症が波及するものなのか。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする