なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

伝染性単核球症

2019年03月28日 | Weblog

 昨日1週間高熱が続く21歳女性が紹介されてきた。最初に受診した内科クリニックを2回受診したが症状が続いて、別のクリニックを受診して、そこからの紹介だった。

 1週間前に38℃以上の発熱が出現して、まず内科クリニックを受診した。咳が少しあるが、鼻汁・咽頭痛はなかった。内服の抗菌薬(フロモックス)が処方されていた。2回そのクリニックを受診したが、症状が続いて、今週の月曜日には別のクリニックを受診した。(そこは内科外科クリニックで先生はもと外科医)

 インフルエンザ迅速試験は陰性で、血液検査では白血球数5800・CRP0.65だった。何らかのウイルス感染と考えて、アセトアミノフェンのみ(と鎮咳剤)で経過をみることにしたが、食事摂取ができないのでその翌日には点滴をしていた。昨日も外来で点滴をしてからの紹介だった。

 症状は発熱と少しの咳のみだった。まず咽頭の発赤・白苔はなく、頸部リンパ節は触れない。胸部聴診も異常なかった。関節痛・筋肉痛もなく、蜂窩織炎の所見・浮腫もない。

 血液検査では白血球数6300・CRP0.5と微増のみで、リンパ球61%と増加していて異型リンパ球が6.0%出ていた。血小板数が11.3万と減少している。肝機能障害があり、AST 140ALT 91LDH 865だった(ALP・γ-GTP・ビリルビンは正常域)。 細菌感染症は否定な結果で、ウイルス感染症を示唆する結果だ。胸部X線は異常なし。

 21歳と年齢的にも伝染性単核球症、それもEBVが疑われる。それにしても咽頭と頸部リンパ節の所見がなさすぎる。EBVとCMVの外注検査を提出して結果待ちとした。念のためだが、血液培養2セットをとらせてもらった。

 外来でも入院でも可能と、本人と付いてきた母親に伝えた。母親は、「私も日中仕事があるので家で面倒をみれないよ」、ということで入院を希望された。1週間目でピークを過ぎていないと、あと1週間はかかると見込まれた。点滴500ml3本とアセトアミノフェン(定期内服+追加分)で経過をみることにした。

 今日は解熱傾向となり、昨日よりは少し元気になったように思える。点滴3本の効果か、自然経過でそろそろ軽快し始めたのかもしれない。昨日血清フェリチンも測定したら2374と上昇していた。この前何らかのウイルス感染(EBV・CMVは既感染)による血球増殖症候群疑いの男性がいたので、ちょっと気になる(へたに測定しなければよかった)。

 

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