なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析患者の糖尿病治療

2019年03月08日 | Weblog

 先週血液透析をしている49歳の糖尿病患者さんの、血糖コントロールを頼まれた。以前にいた腎臓内科医がやめてから、当院の透析担当は外科の常勤医になっている。血糖が1000mg/dlと出て、驚いたらしい。血糖に関しては内科での対応になる。

 この方は6年前から内科外来に通院していた。地元の町立病院の糖尿病専門医が診ていたが、その先生とケンカして通院を中断したそうだ。当院受診時はHbA1c10.%になっていた。

 その後1年でHbA1cは6%台になった。処方はDPP4阻害薬とメトホルミン。喫煙とアルコール性肝障害(脂肪肝)があり、やめるように勧めたが継続していた。血糖コントロールは良好だったが、4年前からネフローゼ症候群となり、腎機能もしだいに悪化した(処方はDPP4阻害薬になった)。糖尿病の初期治療が予後を決めるという遺産効果を実感する経過だ。

 ネフローゼによる全身浮腫が出現して、腎臓内科(大学病院から応援)併科から腎臓内科通院になった。利尿薬の最大投与でも全身浮腫がとれず、何度か内科入院になっていた。特に下半身がすごいことになっていて、両下肢を開かないと歩行できなかった。水分のとり過ぎなので、入院すると利尿薬は同量でもしだいに軽減して退院していた。

 その後血清クレアチニンは4mg/dl程度だったが、浮腫のコントロールができず、除水のためにも早期に血液透析導入になった。透析になってからも水分のとり過ぎで、透析管理が難しかった。引き過ぎると血圧低下した。

 今回入院してすぐの血糖は200mg/dl程度だったので、血糖1000mg//dlは本当かとも思ったが、その後血糖が400~500mg/dlで推移した。実際に血糖は悪化していて、おそらく液体の糖分をとった後の血糖だろうと推定された。

 昨年12月まではHbA1cでいうと6%台で推移して、糖尿病薬なしで過ごしていた。それが今年1月に上昇し始め、2月にぐっと上昇して(HbA1c8%相当、今回の入院に至っていた。外来に来てもらっている透析担当の腎臓内科医が、HbA1cではなく、グリコヘモグロビンで評価していた。透析で溶血したり、腎性貧血の問題もあるので、HbA1c出ない方がよいという判断だそうだ。でもこの方はネフローゼでグリコアルブミンでの評価も問題だと思うが。

 当方がグリコへモグロビンを測定しているのは、異常ヘモグロビンの患者さんだけで、それでも1回おきにHbA1cとグリコヘモグロビンを測定している。単純にグリコヘモグロビン値の1/3がHbA1c値と覚えている。2月はグリコアルブミン25.2、今回は61.2で、もう変換自体意味を成すかどうかわからない(HbA1c20%?)。グリコヘモグロビンだと上がっても診る方の医師が悪化を実感しないのではないか。

 今回悪化したのは、1月から清涼飲料水を1日2L飲み続けていたからと判明した。インスリン強化療法とDPP4阻害薬を開始して、血糖はしだいに低下して、倦怠感が消失した。透析から飲水制限を言われているが、普段全く守っていない。入院してからは病棟看護師さんに注意されると、飲んでいないと言い張って怒鳴っていた。

 

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