なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

TIA?

2019年03月12日 | Weblog

 昨日内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が、一過性に左半身麻痺を呈して回復した86歳男性を診察した。施設入所中で職員が対応したので、症状把握は容易だった。

 まず意識が低下して、10分くらい続いたそうだ。意識が回復してから、左半身麻痺があるのに職員が付いた。1時間くらいの経過で麻痺は消失したが、施設の嘱託医が診て、当院に紹介してきた。

 「一過性意識消失のみは一過性脳虚血発作ではない」、とされているが、この場合は半身麻痺も一過性に出現して回復しているので、全体的にTIAになる。

 画像では異常がないことを想定して頭部MRIが行われた。陳旧性のラクナ梗塞を認めたが、予想通り新規の脳梗塞はなかった。ただMRAの所見が想定外だった。右内頚動脈が閉塞している。それで右大脳が無事ということは、ゆっくりとした動脈閉塞でバイパスができていると判断された。

 TIAというよりは、細々と流れていたバイパスの血流が低下して症状が出現した、と表現するほうがいいのか。バイパス血管なので、血流が低下すると容易に反対側の症状が出現するのだろう。

 昨日はひとり脳神経内科医が休みだったので、当方に相談された。抗血小板薬で経過をみるしかないと思われたが、症状が再発再燃する可能性がある。入院で経過をみるのが無難だろう。

 地域の基幹病院脳神経内科の先生(一番上の先生)に電話で相談してもらうことにした。その結果すぐに診てもらえることになった。この脳血管では、脳梗塞が起き始めれば、左大脳の広範囲が巻き込まれると予想される。

 この内科専攻医の先生は神経内科志望だが、先方でもわかっているらしく、わからないことがあったらいつでも相談していいといわれているそうだ。指導医に愛されるキャラクターで何よりだ。

 その病院の脳神経内科から、1月初めに脳出血後遺症の93歳女性が当院に転院してきた。脳室穿破もあり、意識障害が遷延していることから、末梢点滴のみで経過をみてDNRの方針となっていた。当院に来てからも家族に確認したが、その方針でいいということだった。

 1か月経過すると、発語はないが開眼するようになった。もう一度家族に確認したが、経管栄養も高カロリー輸液もしなくていいというのは変わらなかった。

 それからも末梢点滴で経過をみていて、2か月が経過した。家族は、経管栄養は望まないが、高カロリー輸液にして療養型病床のある病院に紹介してほしい、と希望された。今さらな感じもあるが、今日CVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液に切り替えていくことにした。

 今日はインフルエンザA型罹患+肺炎併発の91歳男性が入院した。いかにも当院らしい入院だ。 

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