88歳女性が内科新患を受診した。一昨日の日曜日の夜間に心窩部重苦感と食欲不振で受診した。腹部CT(単純)で多発性肝嚢胞を認めて、炎症反応が上昇していて、他に感染巣がないことから肝嚢胞の感染を疑ったらしい。
月曜日に内科新患を受診するように指示していたが、月曜日は倦怠感があり、受診しなかった。具合が悪くて病院に来れないというのは高齢者でよくあることだ。食欲不振が続いて、今日は息子さんが連れてきた。やせた小柄で腰の曲がったおばあさんだった。
腹部エコーで見ると、肝膿瘍ではなく、肝嚢胞の内部の液体貯留が二層に分かれていた。造影CTで見ると、肝内に嚢胞が散在していて、左葉外側の嚢胞は壁肥厚と造影効果があり、感染の併発が示唆された。膵尾部にも嚢胞があった。
肝内胆管は一部わずかに拡張しているようにも見えるが、明らかな総胆管拡張はなく、胆嚢結石もなかった。肝機能障害はほとんどない。入院で抗菌薬投与を行って経過をみることにした。
今日は地域の基幹病院消化器内科から、出血性胃潰瘍でやっと止血した88歳女性が転院してきた。今週はさらに同病院泌尿器科から術後、がんセンターと大学病院と心臓呼吸器などのセンターのある専門病院からいずれも肺癌の転院がある。先週末に入院が30名を切ったが、今週はまた40名になる勢いだ。