なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

総胆管結石3例

2019年03月22日 | Weblog

 昨日の春分の日は内科日直で病院に出ていた。偶然だが、3例の総胆管結石の患者さんが受診した。

 93歳男性は上腹部痛で救急搬入された。腹部エコー・CTで胆嚢の結石・腫大を認めたが、総胆管拡張はなかった。胆道系酵素が軽度に上昇していた。急性胆嚢炎として外科医に相談すると、エコーで見える胆嚢のある右季肋部ではなく、心窩部痛であることから、総胆管結石が疑われた。外科医が3時間の経過で血液検査を再検すると、搬入時よりも胆道系酵素が上昇していた。

 総胆管結石の治療ができる消化器内科のある病院で診てもらう、と判断された。地域の基幹病院に相談すると、相変わらず消化器内科は入院満床らしく受け入れはできないと言われた。ちょっと遠方になるが、消化器病センターのある病院と交渉して、こちらは受け入れ可能となった。

 もうひとり総胆管結石の91歳男性も受診していた。腹部CTで明らかに総胆管結石があり、そのうち1個が乳頭部に陥頓して、鎮痛薬を点滴静注しても腹痛が続いていた。外科医が搬送を決めてすっきりした顔をしていた横で、こちらの患者さんはどうしようかと思った。

 以前よくお願いしていた、かなりの遠方だがこちらも消化器病センターのある病院に連絡すると、快く引き受けてくれた。患者さんは当地の施設に入所しているが、息子さんは搬送先の病院に行く方が圧倒的に近い。家族にとってはむしろ幸いだった。ただこの患者さんは認知症もなくしっかりしているが、COPDで在宅酸素療法を受けていて心不全・腎不全もある。搬送先で驚かれるかもしれない。

 もうひとりは、統合失調症で精神科病院に通院している74歳女性だった。以前に意識障害で受診して、頭部MRIでウェルニッケ脳症と診断され、さらに甲状腺機能亢進症と糖尿病もあった。現在は安定して、当方の内科外来に通院していた。

 突然の嘔吐・腹痛で受診して、受診時も症状は続いていた。肝機能障害を認めて、腹部エコー・CTで明らかな総胆管拡張(肝内胆管拡張も)を認めた。総胆管結石が疑われたが、CTでは指摘できない。幸いに症状が軽減して、バイタルも安定していたので、一晩当院で経過をみることにした。

 今朝病室に診に行くと、腹痛・嘔気もなく、ふだん通りの表情だった。ただ検査室から昨日よりも肝機能障害が悪化していると連絡が入った。予定通り、MRCP・腹部エコー再検を行うと、総胆管拡張が軽減していて、総胆管結石を認めなかった。これは自然排石したようだ。総胆管結石を確認したら、どこの病院と相談しようかと思っていたが、患者さんにとっても当方(病院)にとっても幸いな結果になった。

 週明けまで経過をみて、肝機能検査を月曜日に再検することにした。そこで軽快していれば、総胆管結石の嵌頓から自然排石が確定する。胆嚢結石もないので、これで治れば完治になる。

 昨日の午前中は97歳女性の心不全を地域の基幹病院で引き受けてもらった。超高齢だが、歩行できて普通の会話もできる方だった。1週間から両側下腿浮腫が始まっていて、心筋原性酵素が上昇していた。無痛性に心筋梗塞は発症して、心不全症状で顕在化したものと判断した。息子さんが薬剤師でそのお嫁さんが検査技師という、家族が医療関係者ということもあり、急性期は専門医に送らせてもらった。自前で対応できる症例が限られるのはけっこう情けない。

 

 

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