なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

懐かしい顔

2019年03月29日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院消化器内科から、胆管癌の89歳男性が転院してきた。一昨年の10月に閉塞性黄疸で受診して、胆管癌と診断された、手術や癌化学療法は希望されず、というか家族が本人には癌と告知しないよう希望した。総胆管に内視鏡的にメタリックステントを挿入して経過をみることになった。

 ここまでもったので、選択は正しかったのだろう。今月になって体重減少・倦怠感・食事摂取困難となって、同院消化器内科に入院した。内視鏡検査で十二指腸が癌の浸潤で強度の狭窄を来していた(内視鏡が通過できなかった)。家族と相談して、点滴で経過をみることになった。

 緩和ケア科への転科を勧められたが、癌告知をしていることが条件なので、それはできなかった。特別な治療もない状態で入院継続もできないので、当院紹介となった。(本人は気づいているようなので、ちょっと変な形になっているが)

 画像を入れたCDは送られて来なかったので、CTで確認すると、確かに胆管癌が十二腫脹に浸潤して内腔がほとんどなくなっていた。腹水もある。癌が壁外に進行しただけかもしれないが、ステントはきれいに開存している。

 以前はこの患者さんの住んでいる町の病院に勤務していて、外来に通院していた。当院に移動してからも、数名の患者さんがこちらの外来に通院してきたが、そのうちのひとりだった。高血圧症だけでわざわざ時間をかけて来るほどのこともないので、以前いた病院の先生に診てもらうように何度かお話して、紹介状を書いた。

 転院してきて、当方の顔をみて笑っていた。腹痛も時々あり、鎮痛薬を飲むと治まるそうだ。十二指腸は辛うじて通過するらしい。付いてきた息子夫婦も見覚えのある顔だった。どのくらいもつかわからないが、感染症併発だと急変の可能性があり、そうでなければ緩やかに進行悪化と伝えた。せっかく転院してきたので、なるべく長くもたせたいが、保障はできない。今日患者さんの弟さんが来院して、病棟にいるのを見て、親しげに声をかけられた。名前は忘れたが、これまた見覚えのある顔だった。

 ちなみに、紹介してきた消化器内科の若い先生は、当方が研修医だった時の先輩の先生の息子さんだ。最近は、○○先生の息子さんや娘さん、という若い先生方とかかわることが増えた。

 

コメント
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