なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

辺縁系脳炎の講義(CareNeTV)

2019年03月16日 | Weblog
 CareNeTVで林寛之先生の講演を見ていた。今シリーズは意識障害で、まずは低血糖の症例が出てきて、そこから意識障害の講義が始まる。バイタルサインの安定を図って、安定していれば意識障害の鑑別になる。
 
 まずはコモンは疾患を考えましょうと始まるが、まれな疾患も知っているとうれしいということで、何と辺縁系脳炎の話に展開する。救急の先生に辺縁系脳炎の講義を受けるのは面白い。
 
Q:わけわっかんない!いやだぁ!と興奮した若い女性が受診した
これは、意識障害?精神症状?痙攣?
〇:精神疾患 精神科に行って下さい
✕:辺縁系脳炎
✋:変猿系脳炎 苦心の跡が
正解は、✕:辺縁系脳炎
 

辺縁系脳炎
 
症状
 1)精神症状
  行動異常、支離滅裂思考、興奮、幻聴、幻臭、精神運動興奮、統合失調症様症状、記憶障害、せん妄、性欲亢進など
 2)痙攣
  痙攣重積、口周囲異常運動
 3)自律神経症状
  呼吸・循環動態不全、持続覚醒
 
自己免疫性脳炎 2つ分けられる
 腫瘍、ウイルスによる
 1)抗NMDA抗体脳炎
  45歳以下、女性、抗NMDA受容体抗体
 2)辺縁系脳炎
  45歳以上、GABA8R・AMPA・・・
 
辺縁系脳炎の原因
 ウイルス性(1次性)22%
 傍感染性25% 
 傍腫瘍性8% 卵巣腫瘍、精巣腫瘍、肺癌
 全身膠原病合併4%
 分類不能41%
 
ABCDEs:Step Beyond AIUEOTIPS
 A:Autoimmune
 B:Blood clot
 C:CVT
 D:Drug
 E:Encephalitis
 s:SLE
 
A:Autoimmune 
自己免疫性脳炎
 抗NMDA受容体抗体脳炎
 抗VGKC複合体抗体脳炎
 橋本脳症 
  甲状腺機能が正常で抗体を検査しないとわからないことも
B:Blood clot
血栓性微小血管症
C:CVT 
脳静脈洞血栓症
D:Drug
薬剤性脳症
E:Encephalitis
その他の脳炎
 急性散在性脳脊髄炎
 Bickerstaff型脳幹脳炎
s:SLE
SLE、神経好中球病
 
抗菌薬関連脳症
1)TypeⅠ痙攣
 ペニシリン、セファロスポリン
 数日以内に起きる
 脳波異常あり
 MRIは正常
 GABA低下による
2)TypeⅡ意識障害
 スルホンアミド、キノロン、マクロライド、ペニシリンG
 数日以内に起きる 
 脳波MRIは正常
 NMDA、D2が増加
3)TypeⅢ小脳失調75%、意識障害33%、痙攣13%
 メトロニダゾール
 数週以内に起きる
 脳波異常はまれ
 MRIで異常(小脳、脳幹、脳梁)
 ビタミンB1低下
 
 
 回復期リハビリ病棟に20歳代後半の女性が、リハビリ目的で紹介されてしばらく入院していた。この患者さんは卵巣腫瘍があった。担当した脳神経内科医が、この患者さんの診断をした病院の先生を「できるなあ」と褒めていた。医療センターから来ている内科専攻医の先生は、そこで経験した辺縁系脳炎の症例(確か5~6例だった)を国際学会で発表していた。これは医療センターの指導医がすごい。
 
コメント
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