なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高齢者の総胆管結石

2016年09月28日 | Weblog

 先週末に82歳男性が総胆管結石・急性胆管炎で入院した。抗菌薬投与で解熱して、週末当院で過ごして、月曜日に地域の基幹病院へ内視鏡治療のため転院した。この方は脳梗塞後遺症で左不全片麻痺があるが、認知症はなく普通に会話ができる。介護タクシーで移動する直前に、夜間から薬疹と思われる皮疹ができていた(四肢に散在)と看護師さんから報告があった。あわてて紹介状に追記したりしてバタバタした。

 2か月前にその基幹病院の呼吸器科から転院してきた78歳男性が熱発・嘔吐した。この方はアルツハイマー型認知症で精神科病院に通院していたが、誤嚥性肺炎で入院した。肺炎は軽快したが、嚥下訓練でムセがひどく、経口摂取は中止となった。「家族はあまり経管栄養は希望していないようですが、そちらで経過を見てください」という紹介で転院してきた。家族と話をすると、とくかく入院していると家庭で苦労して介護する必要がないので、楽チンということだった。もう充分世話をしたと妻が言っていた。嚥下訓練を継続して、嚥下不可能なら経管栄養にしますかと訊くと、あっさり同意した。

 その後、嚥下訓練をすると意外にうまくいって、全粥刻み食とろみ付きを食べることができた。もう家族が在宅介護する気はないので、施設入所申し込みをして待機となっていた。2か月待ってやっと施設のショートステイ入所で繋いでいくことになり、今週末の退院日が決まったところだった。

 昨日胸部X線(ポータブル)をみると、明らかな肺炎の陰影はなかったが、時間の経過とともに陰影がでてくると予想された。抗菌薬を開始して、今日血液検査を入れていたが、思いがけず肝機能障害があった。胆道系酵素が上昇している。腹部エコーで胆嚢内にはdebrisがあり、総胆管内に結石を認めた。総胆管結石と胆道感染だった。腹部CTで確認すると、結石が3個写っていた。昨日からの抗菌薬点滴静注で今日は解熱している。このまま来週まで経過をみることにした。

 正しくは総胆管結石の内視鏡治療だが、どうしたものか。相当抑制しないと到底処置ができないが、はたして引き受けてくれるだろうか。抗菌薬投与でいったん治まったら、そのまま経過を見たい気がするが。

 今誤嚥性肺炎の治療をしている87歳男性も総胆管結石があり、もともと外来は消化器科に通院していた。認知症があり、胸部大動脈瘤もあるが、それも含めて経過観察となっていた。この方は胆道感染をきたしても、内視鏡処置の適応なしという方針になっていた。高齢者の総胆管結石の治療をどうするかというのは、学会でも問題になっていたようだが、個別に検討するしかないのだろう。

 

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