倉原優先生の「成人吸入薬のすべて」を読んだ。本当にすべてで、掃除法・廃棄法まで書いてある。吸入薬戦国時代と言う通り、多数(といっても数種類ずつだが)の吸入薬が出ていて、どれを使うべきか迷ってしまう。この本を見てやっと全体像がわかった。
それぞれの種類で効果に優劣はないというが、吸入アドヒアランス(ちゃんと吸入できて継続できる)を良くすることを考慮して選択する必要がある。
ICS(吸入ステロイド薬)は、pMDI(加圧式定量噴霧式吸入器)のオルベスコ・キュバール、DPI(ドライパウダー吸入器)のパルミコート・フルタイド・アズマネックス。フルタイドを処方する患者さんはいなくなってしまった。アズマネックスを処方したことはない。喘息ではISC/LABAの処方で開始することが多く、そのまま継続する傾向がある。
ICS/LABAは、ほとんどがDPIで、アドエア・シムビコート・フルティフォーム・レルベアで、アドエアはpMDIもある。以前から使用している患者さんではアドエアが多く、新規ではシムビコートが多い。レルベアは最近少しだけ処方し始めた。
LABA(長時間作用性β2刺激薬)は、いずれもDPIのセレベント・オンブレス・オーキシス。LABAの処方は退職した先生から引き継いだ患者さんにオンブレスを継続しているだけで、あとはいない。以前セレベントを数名に処方していたが、今はいない。COPDにLABAで治療開始することがないためだろう。
LAMA(長時間作用性抗コリン薬)は、ソフトミストのスピリーバとDPIのシーブリ・エクリラ・エンクラッセ。処方しているのはスピリーバレスピマットだけ。新規の患者さんをあまり診ていないので、新しい製剤が出ない。
LAMA/LABAは、ソフトミストのスピオルトとDPIのウルティブロ・アノーロ。これはまだ処方していない。
これからはDPIがきちんと吸入できる患者さんでは、エリプタで統一して、エンクラッセ・アノーロ・レルベアで行こうとも思うが、このシリーズはICS単剤の製品がない。安定した喘息患者さんにICS/LABAで継続するのは過剰治療になるので、ICS単剤への変更を考慮することと記載されている。
一番困るのはpMDIに付けるスペーサーにいいものがないことだ。推奨されている本格的なエアロチャンバープラスやオプティチャンバーダイアモンドではなくて、推奨はされていないが簡単なオルベスコ専用スペーサーのようなビニールの小さなものの方が使いやすい。作るのに100円もかからないだろうから、全部のpMDIで使えるスペーサーが市販されないだろうか。