なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

たまにclinical problem solving

2016年09月25日 | Weblog

 英語で時間をかけて読むよりは、購入してまだ読んでない日本語の医学書を読んだ方が効率がいいと思っていた。以前NEJMのClinical problem solvingくらいは読むことにしていたが、しばらく遠ざかっていた。久しぶりに読んでみた(Tip of the Tongue)。

 HIV感染の65歳女性が、ピンク色の痰・労作時息切れ、さらに構語障害・嚥下障害・頭痛・歩行障害で受診。診断は右肺腺癌・髄膜癌腫症leptomeningeal carcinomatosis。HIV感染者では日和見感染などの感染症の併発を想起するが、最近は腫瘍性疾患も想起する必要があるという。治療(ART)により、疾患のスペクトラムが変化している。

 髄膜癌腫症は固形癌がくも膜下腔に進展(固形癌の約5%)して生じる。乳癌・肺癌・消化管癌・黒色腫が多い。症状が非特異的なので、診断は難しい。症状は頭痛・痙攣・意識障害・運動失調。脳神経障害ではⅢ・Ⅵ・Ⅳ・Ⅶ・Ⅷが多い。脳脊髄液では初圧の上昇・リンパ球増加・蛋白低下・糖低下(hypoglycorrhachia髄液糖減少という単語がある)。髄液細胞診(感度を高めるには10ml以上提出)で30~50%は陰性なので、疑わしい時は再検する。ガドリニウム造影MRIの感度は70~94%で、細胞診と組み合わせると感度が高まる。生存中央値は約2か月で90%は1年以内に死亡する。治療は姑息的放射線療法で、PSが良ければ化学療法を追加する。

 Clicical problem solvingはジョークを入れているので、最後に「患者さんの言うことだけではなく言い方にも注意すること」とあって、これが題名のTip of the Tongueに結び付くんだろう(たぶん)。Clicical problem solvingくらいは読んでみよう(可能ならMGHの症例も)。

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