昨日の日曜日に当番医の内科クリニックから、肺炎の76歳男性が当院に紹介されてきたそうだ。嘔吐した後というので、診断は誤嚥性肺炎となっていた。日直は循環器科の先生で、胸腹部CTを撮影したところ、腹部は腸管が拡張して腸閉塞像を呈していた。そして左側に腸管の突出があり、ヘルニア陥頓だった(外科医は大腿ヘルニアと)。肺炎自体は重症ではなく、そのまま外科手術となって、肺炎の治療をしながら術後経過をみることになった。
当院の常勤医は単純CTを撮影する時は、胸腹部でオーダーすることが多い。思いがけず胸部以外、腹部以外の病変が見つかって役に立つ。大学から出張の先生だと、狙った部位しかとらないので、胸部CTとして撮影してぎりぎり肝病変が写っていたりする。読影する放射線科としては迷惑だろうが、何度も画像に助けられているのでついつい胸腹部になる。
救急当番の先生から、救急搬入された1か月嘔吐が断続的に続く84歳女性のことで連絡がきた。胸腹部CTでは(また胸腹部CTになるが)、重度の食道裂孔ヘルニアがあり、胃は胸腔内にある。確かにこれは嘔吐するだろう。脱水によると判断される腎前性腎不全もあり、低ナトリウム血症を呈していた。姪の方が付き添ってきていて、患者さんは独身で甥と同居しているという。簡単に言うと、家庭に介護力はない。入院して点滴を続けて経過をみるしかないようだ。かかりつけの内科クリニックでは内視鏡をしているので、悪性疾患はないのだろう。
以前、食道裂孔ヘルニアがひどくて食事摂取できず、外科で整復手術をした高齢女性がいた。他の患者さんのことで良く病院に来ているケアマネも付いて来ていた。その旨を伝えると、あああの患者さんでしたねと言われた。手広くやっているものだ。