なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺胞微石症

2016年09月09日 | Weblog

 昨日の救急当番の時に、発熱・呼吸苦で72歳が搬送されてきた。当院呼吸器科に肺胞微石症で通院して在宅酸素療法を受けていた。2か月前に、担当の先生(外部からの応援医師)からこの患者さんのことで電話で依頼があったことを思い出した。病状悪化による心肺停止になった際には、家族と相談してDNRの方針としたということだった(カルテにはわかるように記載してあった)。

 在宅酸素療法で7L/分と聞いて、そんな高流量があったのかと思ったが、2台使用してそれぞれから3.5L/分ずつ流していた(裏ワザ?)。そこまでしても在宅生活を継続させたかったようだ。病院通院時にはポータブルの酸素ボンベを使用するしかないので、通院途中は低酸素状態になって、病院に到着すると病院の酸素を使っていた。

 20年前に病名が付いていた。画像は13年前のが残っていて、教科書的な肺胞微石症の像だった。現在では癒合してかたまった石灰化病変になっている。増悪の原因が細菌性肺炎併発ならば治療の余地があるかと思ったが、それらしい画像は指摘できず、炎症反応も陰性だった。原疾患自体の進行とすると、治療手段がない。

 初めてお会いする家族なので、改めて呼吸器科医から受けた説明を確認した。ケアマネが付いてきていて、夫が家庭での介護でパニックになっているので、入院でお願いしたいという。治療の点では限界があり、預かっただけの入院になる可能性が高いことを伝えて入院とした。

 肺胞微石症。実際に見るのは初めてだ(そして今後もないだろう)。下が現在の画像。

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