なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ペースメーカーは設定通りに動いていた

2014年12月17日 | Weblog

 昨日の夕方に87歳男性が発熱で受診した。夕方ふらふらして動けなくなり、体温を測定したら37.2℃だった。体格のいい高齢者で、家族がやっとの思いで車に乗せて連れてきた。病院で体温測定すると38.7℃だった。咽頭痛や咳はなく、鼻汁はふだんからあるということだった。全身の関節痛があるらしい。急な発熱で季節がらインフルエンザが疑われた。迅速試験は陰性だったが、発症直後のためかもしれなかった。胸部X線・CTで両側胸水を軽度に認めた。明らかな肺炎の陰性はなかった。尿路感染、胆道感染も否定的だった。インフルエンザとして入院して経過をみることになった。

 この方は心臓ペースメーカー植え込み術後だった。徐脈性心房細動らしい。心電図をみると、きれいなペースメーカーリズムだが、心拍数が44/分だった。1週間前にペースメーカー外来を受診していて、普段は心拍数70/分(ペースメーカーリズム)で、それは設定通りだった。外来受診後から徐脈になっていて、デイサービスで指摘されていたという。外来受診以降44/分が続いている。循環器科の当番医(外来主治医)に電話すると、それは変だが、さしあたって問題はなさそうなので、明日確認しますと言われた。内科病棟がいっぱいなので、循環器科病棟に入院とした。

 今日診てもらうと、ペースメーカーの設定が44/分になっていたそうだ。フクダ電子を呼んで確認したところ、理由がわかった。ペースメーカー外来の時にペースメーカーの設定心拍を下げて、自己リズムが出るかどうか確認する作業を行う。普段はその後に、設定心拍(70/分)に戻すのだが、それを忘れて設定を下げたままにして帰したのだった。元の設定心拍に戻して一件落着となった。

 今日もインフエウエンザ迅速試験を再検したが、陰性だった。インフルエンザではないようだ。抗インフルエンザ薬は使用しないで経過をみたが、37.2℃くらいになっていた。朝食も8割食べて、受け答えも昨日よりもしっかりしている。昨日入院後に補液500mlとセフトリアキソン1gを点滴していた。感染巣がはっきりしないのに、抗菌薬を使ったことになるが、高齢者の高熱で細菌感染も否定できないので、まあそこは大人の対応として大目に見ていただきたい(インフルエンザに細菌感染が併発しないように使ったつもり)。

コメント
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