なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

あのひどい検査値の患者さんは何ですか

2014年12月15日 | Weblog

 昨被の当直帯で69歳男性が救急搬入された。近くのファミレスに行こうとして下肢の脱力で動けなくなっった。当直医は神経内科医だった。意識はたぶん清明で、下肢の筋力に左右差はなかった。やせていて筋肉も落ちている人だった。

 検査値はBUN・血清クレアチニンの上昇があった。搬入時クレアチニンが2で、翌日3になっていた。AST・ALTが4ケタを呈している。CKが著明に上昇して、ALT・γGTPが正常のところを見ると。肝機能障害というよりは筋肉の障害だった。白血球増加とCRP上昇もあり、血小板数が減少している。37℃台の発熱もあった。本人(アパートに一人暮らし)の話では1週間前からというが、行き来のある兄の話も聞くと、1か月前から足の痛みを訴えていたらしい。頭部CTで脳萎縮を認めるが、脳出血や明らかな脳梗塞はなかった。

 朝病院に来ると、神経内科医に入院した患者さんを申し送られた。右肺炎の患者さん(37歳男性)も入院していて、それは内科の若い先生に主治医をお願いした。この69歳男性は私が担当することにした。

 以前に皮膚科に足白癬で通院していた既往がある。その足は足趾全部に白癬症があり、下腿にもあった。両足の甲が紫色に腫れ上がって疼痛を訴えていた。両側足背動脈は触知良好だった。足白癬から、細菌感染を併発して敗血症になっていると思われた。肺炎・尿路感染・胆道感染はないようだ。血液培養を2セット採取して、抗菌薬を開始した。足の紫色の部分は少なくとも搬入時から今日までは進行していない。バイタルはショックではなかった。

 ベットのシーツ上に白癬の鱗屑がどっさりと落ちていた。身体を観察すると、何だか普段入浴しているとは思えない。若いころは、それなりに仕事(工場勤務らしい)をされていたようだ。妻子はなく、連絡先は兄になっている。カルテの表に住所が書いてあって、隣町なのかと思ったが、それは兄の住所で、ご本人は市内のアパートに住んでいるそうだ。どんな暮らしぶりなのだろうか。よく一人でやっていたものだと思う。このひどい症状がうまく治ったら、介護保険申請もする必要がある。

 内科系の先生方は土日に入院した患者さんの検査結果や画像を、コンピュータ画面上で確認している。何人かの先生に、あのひどい検査の患者さんは何ですかと聞かれた。

 

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