なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌、肺炎、腸炎

2014年12月01日 | Weblog

 先月42歳男性が県立がんセンター呼吸器科からの紹介で内科外来を受診した。左肺門部肺癌で治療していたが、治療が限界となり、Best supportive care(BSC)のみとなった。通院も大変になってきたので、後は地元の病院でBSCを継続してほしいという内容だった。がんセンターにはホスピスもあるが、できるだけ自宅で過ごしたいという希望とは合わない。

 1か月分の処方が出されていたので、処方がなくなるころに予約と入れた。ただし、その前に病状が悪化した時は受診することとした。先日レスキューのオキノームがなくなり、奥さんが外来に取りに来た。今日内科外来に電話が入って、動けなくなったので入院したいという話だった。早速来てもらった。胸部CT(画像は当院では初めて撮影)で左肺背側に癌の浸潤があり、胸水もあった。がんセンターの紹介状に添付されていた画像よりは進行している。フェントステープ2mg+1mgだったが、自分で2mg+1mg2枚に増量していた。

 できれば年末ということもあり、いったんは退院させたいが、どうだろうか。ステロイドはデカドロンが4mg/日入っている。増量する余地があるか。鎮痛補助薬の追加を検討することにした。

 認知症でグループホームに入所している88歳女性が肺炎(誤嚥性か)で内科クリニックから紹介されて、救急搬入した。右下肺に肺炎がある。「肺HRCTエッセンシャルズ」のおかげで、読みが容易になった気がする(勘違いかも)。

 整形外科のリハビリ病棟に入院している31歳男性が、一昨日から腹痛が続いて、診察を頼まれた。この患者さんは交通事故による胸胸椎損傷で、隣県の大学病院整形外科で手術(固定術)を受けて、当院にリハビリ目的で転院していた。一昨日に38℃の発熱があり、右下腹部痛がつづいて、それが右季肋部から心窩部に広がっていた(患者さんの話)。右下腹部の圧痛が一番強く、反跳痛(percussion tenderness)もあった。部位的には虫垂炎か結腸憩室炎だが、発熱と疼痛の進展がやや疑問だった。白血球増加とCRP上昇があった。当番の外科医にも声をかけて、腹部造影CTを行った。虫垂炎・憩室炎の所見はなく、回腸末端の40cm位と回盲弁までの腸管壁が肥厚していた。症間膜脂肪織の炎症像はなく、腸間膜リンパ節の腫脹もなかった。

 下痢はしていないという話だったが、CT検査に行く直前から水様便が始まった。これはどうも感染性腸炎のようだ。発熱が先行していることと、回盲部に炎症があることから、カンピロバクターが疑われる。便培養を提出して抗菌薬内服を開始した。CT後に外科医が病室まで診に来てくれて、腸炎でしょうと言われた。

コメント
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