なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性腹膜炎

2014年12月09日 | Weblog

 糖尿病で通院している75歳女性が早朝に腹痛で受診した。普段も時々腹痛を訴えるので、家族(娘)は腹痛を訴えるので、ちょっと診てもらうというつもりで連れてきたらしい。当直は循環器科医だった。一番痛がる右下腹部に触ると、板状硬だった。腹部造影CTで右下腹部から右上腹部にかけて、さらに骨盤腔にかけて腹水が貯留していた。上行結腸に憩室はない。虫垂炎の穿孔かと思われたが、明らかな虫垂を指摘できなかった(炎症で融解した可能性は否定できず)。

 この方は数年前にも腹膜炎で腹腔鏡下手術を受けていた。炎症性の婦人科疾患からの腹膜炎が考えられて、卵巣卵管摘出術が行われた(骨盤腹膜炎として保存的に診れる状態ではない)。今回も消化管の穿孔は否定され、卵管の盲端部が破れた可能性があるそうだ。

 もともと統合失調症の方だったはずだ。先夫が亡くなった後、再婚した相手といっしょに生活していると思っていたが、前に入院した際に内縁関係で籍は入れていないことがわかった。保証書に記載した(内縁の)夫の姓が違うことで事情がわかった。内縁でも長年いっしょに生活しているので夫婦には違いない。

 そのうちに娘さんがこの患者さんを外来に連れてきた。内縁の夫が悪性リンパ腫で入院したこともあり(その後亡くなったらしい)、娘さん宅に同居することになったが、仕事をしていてインスリン強化療法はできないので、せめて朝夕のインスリンに変更してもらいたい。ついては同居のために家を直すので、しばらく入院させてほしいというのものだった。これまでの経緯もあり、入院して2か月治療した。最後の1か月は預っただけの入院になったが。それにしても、インスリン強化療法と血糖自己測定をきちんを行っていた夫は大したものだと思う。

 実は昨日娘さんが外来に来て、4月まで施設に入れることになったので、(予約日までまだあるが)入所中に使うように処方を追加してほしいと言われて出したばかりだった。当直医が入院して手術になると話すと、施設入所の予定なのでと言っていたそうだ、もちろん腹膜炎なので施設どころではない。

 この方はある意味内科外来の名物患者さんであり、名前を言うと看護師さんたちもすぐにわかる。これまで様々な病気で10回近く入院しているが、今回も外科で治療してもらって乗り切って行きそうだ。

コメント
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