今日は午後から漢方のセミナーに行ってきた。ツムラ主催のサイエンス漢方処方セミナーで講師は井齋偉矢先生。内容は「サイエンス漢方処方概論」と「救急医療と漢方」だった。昨年度も3回のうち2回出席したので、おなじみの先生になった。
漢方は炎症を抑えたり、微小循環障害を改善させたり、局所の水分調整したり、体温を調整したりできるが、いわゆる西洋薬ではうまくできない。救急医療と漢方では、めまい(五苓散)、鼻出血(三黄瀉心湯)、片頭痛(呉茱萸湯)、嘔吐下痢(五苓散・桂枝人参湯)、痔(芍薬甘草湯)、打撲傷(通導散)、ぎっくり腰(芍薬甘草湯)、せん妄(抑肝散)の治療に速効性の効果がある。
今のところ使っているのは、認知症のBPSDに抑肝散、こむら返りに芍薬甘草湯、感冒の葛根湯くらいだ。尿管結石の疼痛に芍薬甘草湯を使って、結石の排出に猪苓湯を使ってみたい。内科の若い先生方は嘔吐下痢に五苓散をよく使っている。通常は点滴とプリンペラン注を行って、自然に症状が軽快すればナウゼリンとミヤBMを処方している。これは腸管に直接効く治療ではなく、対症療法をしながら患者さんの力で軽快するのを待つだけの治療だ。五苓散の注腸の話があったが、薬局で五苓散の自家製座薬を作ってくれると使いやすい。
井齋先生著のソフトバンク新書が昨年出たが、もうすぐ第二弾が出版されるそうだ。それも買って勉強しよう。それにしても参加者は多く、関心の高さが分かる。参加費は無料で、往復のタクシーチケットが出る。これだけ費用をかけても、漢方処方が増えればツムラとしては元がとれるのだろう。