なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

結核診療の会議

2014年12月03日 | Weblog

 昨日は県庁で結核診療に関する会議があり、県庁に行ってきた。病棟が落ち着いていたので、回診をすませて雨の中を出かけた。感染症の大学教授がネットワークについての説明をして、さて皆さんのご意見をと言ったとたんに、意見というか不満が次々に出てきた。

 結核診療が整備されていないのは知っていたが(実際に困っていた)、今回県内の事情がよくわかった。県内には結核病床を有する病院は1か所しかない。そこはもともと療養所だったところで、急性呼吸不全は診れない。ほどんど単科病院なので、専門的な合併症をもつ患者さんは診れない。つまり、酸素吸入はしているとしても、今々危ないというほどではない患者さんしか対応できない。合併症として、たとえば極端な話透析していれば当然ダメだし、そこまで特殊でなくても心疾患・肝疾患・腎疾患などあれば診ない。

 また排菌しなくなった患者さんはできるだけ外来治療にもっていく方針となっているが、高齢者でもともと施設に入所している場合は施設が引き取らない。当然家族はもう同居する気はない。老健施設は丸めなので、費用がかかるのでいやがる。普通に医療機関を受診できる特老でも、抗結核薬を内服している入所者は(たとえ感染性はないとしても)入所させたがらない。

 ではどうするかというと、結核モデル病床というのがある。地域の基幹病院に排菌している結核患者さんが入院できる陰圧の隔離された病室を1床か2床造ってもらって、そこで診てくださいというものだ。県内に7か所すでにあるそうだ。ただし都市部に集中して、郡部にはほどんどない。医療圏として県内は4つに分かれるので、それぞれの地域で、そのモデル病床を造ってもらいたいという。大学病院にもないので説得力に欠ける。2年前に赤十字病院が結核病床を閉鎖したくらいだから、金銭的にも手を出しにくい状況と思われる。

 結核モデル病床を持っている病院の先生も発表していたが、実際は2床もっているが、1床しか届け出ていないそうだ。院内で判明した結核患者さんを診るためのものであって、他の病院からの紹介までは診ないようにしているということだ。また、特殊な感染症の患者さんが来てしまった時の入院用に確保しておくという意味もあるのだろう。

コメント
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