独立行政法人国民生活センター発行 国民生活2020.7
特集:ネット広告と消費者トラブルより
原田由里(一般社団法人ECネットワーク理事)
ネット広告をめぐるトラブルと対策~定期購入を例に~
事例1
SNS上の広告で「黒く艶がでる」とうたっていた白髪ケアサプリ「お試しコース1,000円」を
申し込んだ。お試しの商品到着2週間後に再度商品が届き、同意なしで勝手に継続購入にされた。
3回購入が条件として、一方的に6,000円を請求された。
ネットで調べたところ、同じような状況の人がいるようだ。
メールでキャンセルを伝えたが、次回到着日の10日前までに電話連絡するよう返信があった。
電話は自動応答の混雑メッセージのみでまったくつながらない
事例2
動画のSNSでダイエットサプリの広告を見て、
「初回送料負担のみ」「残量わずか」と宣伝していたので
販売サイトから申し込んだが、応答メールで「定期購入の契約」と分かった。
サイトに「初めての方は30日以内の解約可能」とあったので解約を申し込んだところ、
単品販売価格(15,000円)と初回送料との差額を請求された。
ネット通販の消費者トラブルで最近多いのが
「お試しのはずが定期購入契約だった」というものです。
主に、ダイエット、若返り(シミ・しわ・毛穴・白髪)、豊胸、薄毛、ニキビ、消臭
筋肉増強のサプリや化粧品、下着類など、
いわゆる「コンプレックス系商品」が多く
「お試し商品発送後、多量の商品が一度に届く」「注文していない商品が届いた」
「解約時の単価商品価格が高い」「解約連絡先が電話のみでつながらない」
「効果がなく体調を崩す」などのトラブルが寄せられています。
第1の落とし穴
直接の販売業者ではなく、広告収入を目的に広告表示を行う広告代理店やアフィリエイターの存在
SNSなどにも多く見受けられ、購入動機のきっかけとなります。
アフィリエイターは成果報酬型の運用広告の代表的なもので、
基本的には商品が売れるほど商品の紹介記事を掲載する
ブログやランディングページを公開しているアフィリエイターに広告収入が入るしくみ
「1か月で10キロ減量」「三段腹がペッタンコ」「シミがウソのようにはがれる」などの過激な表現や
「芸能人〇〇がこっそり愛用中」「番組で放送後、炎上中」などの信ぴょう性が疑われる表現
「在庫切れ直前」「次回入荷未定」など購入を急かす表現を用いて、販売業者サイトに誘導するもの
アフィリエイト広告は再現性が低く、再度同じページに戻っても、広告枠は既に別の広告にすり替わる
広告枠によっては、見る人の趣味や属性に合わせたターゲティング広告として表示される
第2の落とし穴
販売業者の広告ページの問題
ネット通品は「特定商取引法」の規制を受け、
定期購入と気づかずに購入した消費者のトラブルを受け、現在
現在、定期購入となる旨と、契約期間(商品の引き渡し回数)、消費者が支払うこととなる金額
(各回の商品代金、送料及び支払い総額)を申し込み画面などに表示し、
容易に訂正する機会を用意することになっています。
販売業者側の広告には、契約条件の記載があるものの、お試し価格の強調表現に比べて極めて小さく、
また離れて記載されている事例や
多くはランディングページと呼ばれる特定の商品だけを宣伝する、独立した宣伝ページで構成され、
ページは長く、見るには相当なスクロールが必要で、ページ内には体験談などが載っていますが、
スクロール途中からでも注文画面に飛べるようになっていて、
契約条件が十分に確認できない場合もある。
また、「いつでも解約可能」とうたうところもあり、しかし、その際のお試し価格は
あくまで定期購入が条件であること、定期購入では割引価格が適用される販売条件になっていて
お試し直後に解約すると、単品での購入価格を請求されることがあり、注文画面ではわかりにくい。
第3の落とし穴
ネット上には広告ではない自然な推奨記事や口コミと区別がつかない広告や
フェイク「いいね!」など、ステルスマーケティング(ステマ)が存在する
評判を調べようと検索すると、検索結果に体験談やランキング、掲示板やSNSへの書き込みなどがヒットすることがある。
好評・悪評を含め、実際の体験者が率直に思ったことを書き込んだものもありますが、
「悪評もあるけど続けてよかった」「定期購入だけど、かえって便利」といったブログ記事など
本当の体験談なのか、販売者の依頼を受けて書いているのか、その区別が難しいものもあります。
トラブルを減らすには
〇広告に関する業界団体や、SNSを含むプラットフォーマー側で、
悪質な広告の排除に取り組む動きも出てきている。
関連法を順守し、虚偽の内容はもちろん過激な表現を控え、公正性が担保される必要があります。
広告であることが、誰にでも確認でき、どのような審査を経て表示されているのか、
理解できるしくみも必要
〇人にコンプレックスや健康、不安、経済や社会不安に関連する商品の広告は、
見る人がそれに当てはまると冷静な判断ができなくなるかもしれません。
消費者側は情報をうのみにせず、購入においてはその契約条件などを十分に確認する
〇そもそも「痩せれば恋愛も人生もすべてうまくいく」
「リスクも努力もなしでカネが手に入る」わけはなく、
日頃から自分にないものを探すより、充実した日々を過ごすことに重点を置くような生活が
根本的にはこのようなトラブルを避けることにつながるかもしれません。
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国民生活では図を使ってさらにわかりやすい記事でした。
国民生活2020.7の特集2を確認いただければと思います。
いろいろな手段を使って、不安をあおり商品を購入させようとしているんですね。
商売ですので、少しで多くの商品を販売したいのは当然ですが、
消費者が納得して契約できるようになるといいのですが。
消費者がしっかり確認することが大切ですが、
分かりにくい詐欺的な手口のところからは買わず、
確認できるように分かりやすい表示を心掛けている販売者を選び購入することで防ぐ方法もあります。
ネットを利用すれば必然的に様々な商品やサービスの広告を見る機会が増えます。
原田氏が提案するように
ないものを探すより、充実した日々を過ごすことに重点をおく生活をすることが大切なのですね。
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特集:ネット広告と消費者トラブルより
原田由里(一般社団法人ECネットワーク理事)
ネット広告をめぐるトラブルと対策~定期購入を例に~
事例1
SNS上の広告で「黒く艶がでる」とうたっていた白髪ケアサプリ「お試しコース1,000円」を
申し込んだ。お試しの商品到着2週間後に再度商品が届き、同意なしで勝手に継続購入にされた。
3回購入が条件として、一方的に6,000円を請求された。
ネットで調べたところ、同じような状況の人がいるようだ。
メールでキャンセルを伝えたが、次回到着日の10日前までに電話連絡するよう返信があった。
電話は自動応答の混雑メッセージのみでまったくつながらない
事例2
動画のSNSでダイエットサプリの広告を見て、
「初回送料負担のみ」「残量わずか」と宣伝していたので
販売サイトから申し込んだが、応答メールで「定期購入の契約」と分かった。
サイトに「初めての方は30日以内の解約可能」とあったので解約を申し込んだところ、
単品販売価格(15,000円)と初回送料との差額を請求された。
ネット通販の消費者トラブルで最近多いのが
「お試しのはずが定期購入契約だった」というものです。
主に、ダイエット、若返り(シミ・しわ・毛穴・白髪)、豊胸、薄毛、ニキビ、消臭
筋肉増強のサプリや化粧品、下着類など、
いわゆる「コンプレックス系商品」が多く
「お試し商品発送後、多量の商品が一度に届く」「注文していない商品が届いた」
「解約時の単価商品価格が高い」「解約連絡先が電話のみでつながらない」
「効果がなく体調を崩す」などのトラブルが寄せられています。
第1の落とし穴
直接の販売業者ではなく、広告収入を目的に広告表示を行う広告代理店やアフィリエイターの存在
SNSなどにも多く見受けられ、購入動機のきっかけとなります。
アフィリエイターは成果報酬型の運用広告の代表的なもので、
基本的には商品が売れるほど商品の紹介記事を掲載する
ブログやランディングページを公開しているアフィリエイターに広告収入が入るしくみ
「1か月で10キロ減量」「三段腹がペッタンコ」「シミがウソのようにはがれる」などの過激な表現や
「芸能人〇〇がこっそり愛用中」「番組で放送後、炎上中」などの信ぴょう性が疑われる表現
「在庫切れ直前」「次回入荷未定」など購入を急かす表現を用いて、販売業者サイトに誘導するもの
アフィリエイト広告は再現性が低く、再度同じページに戻っても、広告枠は既に別の広告にすり替わる
広告枠によっては、見る人の趣味や属性に合わせたターゲティング広告として表示される
第2の落とし穴
販売業者の広告ページの問題
ネット通品は「特定商取引法」の規制を受け、
定期購入と気づかずに購入した消費者のトラブルを受け、現在
現在、定期購入となる旨と、契約期間(商品の引き渡し回数)、消費者が支払うこととなる金額
(各回の商品代金、送料及び支払い総額)を申し込み画面などに表示し、
容易に訂正する機会を用意することになっています。
販売業者側の広告には、契約条件の記載があるものの、お試し価格の強調表現に比べて極めて小さく、
また離れて記載されている事例や
多くはランディングページと呼ばれる特定の商品だけを宣伝する、独立した宣伝ページで構成され、
ページは長く、見るには相当なスクロールが必要で、ページ内には体験談などが載っていますが、
スクロール途中からでも注文画面に飛べるようになっていて、
契約条件が十分に確認できない場合もある。
また、「いつでも解約可能」とうたうところもあり、しかし、その際のお試し価格は
あくまで定期購入が条件であること、定期購入では割引価格が適用される販売条件になっていて
お試し直後に解約すると、単品での購入価格を請求されることがあり、注文画面ではわかりにくい。
第3の落とし穴
ネット上には広告ではない自然な推奨記事や口コミと区別がつかない広告や
フェイク「いいね!」など、ステルスマーケティング(ステマ)が存在する
評判を調べようと検索すると、検索結果に体験談やランキング、掲示板やSNSへの書き込みなどがヒットすることがある。
好評・悪評を含め、実際の体験者が率直に思ったことを書き込んだものもありますが、
「悪評もあるけど続けてよかった」「定期購入だけど、かえって便利」といったブログ記事など
本当の体験談なのか、販売者の依頼を受けて書いているのか、その区別が難しいものもあります。
トラブルを減らすには
〇広告に関する業界団体や、SNSを含むプラットフォーマー側で、
悪質な広告の排除に取り組む動きも出てきている。
関連法を順守し、虚偽の内容はもちろん過激な表現を控え、公正性が担保される必要があります。
広告であることが、誰にでも確認でき、どのような審査を経て表示されているのか、
理解できるしくみも必要
〇人にコンプレックスや健康、不安、経済や社会不安に関連する商品の広告は、
見る人がそれに当てはまると冷静な判断ができなくなるかもしれません。
消費者側は情報をうのみにせず、購入においてはその契約条件などを十分に確認する
〇そもそも「痩せれば恋愛も人生もすべてうまくいく」
「リスクも努力もなしでカネが手に入る」わけはなく、
日頃から自分にないものを探すより、充実した日々を過ごすことに重点を置くような生活が
根本的にはこのようなトラブルを避けることにつながるかもしれません。
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国民生活では図を使ってさらにわかりやすい記事でした。
国民生活2020.7の特集2を確認いただければと思います。
いろいろな手段を使って、不安をあおり商品を購入させようとしているんですね。
商売ですので、少しで多くの商品を販売したいのは当然ですが、
消費者が納得して契約できるようになるといいのですが。
消費者がしっかり確認することが大切ですが、
分かりにくい詐欺的な手口のところからは買わず、
確認できるように分かりやすい表示を心掛けている販売者を選び購入することで防ぐ方法もあります。
ネットを利用すれば必然的に様々な商品やサービスの広告を見る機会が増えます。
原田氏が提案するように
ないものを探すより、充実した日々を過ごすことに重点をおく生活をすることが大切なのですね。
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