独立行政法人国民生活センター発行 国民生活2024。2
暮らしの法律Q&A 第140回より
ゴルフ会員権の償還期限が延長されたら?
相談者の気持ち
20年前に預託金100万円を支払ってゴルフ会員権を購入しました。
預託金の償還期限を迎えたため、退会しようと思い運営会社に連絡したところ
「経営悪化のため据置機関を5年延長した。その間の年会費も払って欲しい」と言われました。
勝手に据置期間を延長させたうえに年会費も支払わなければいけないのでしょうか。
小島直樹弁護士
回答
ゴルフ会員権には、株主会員権、社団法人会員権もありますが、
大多数は預託金会員権すなわちゴルフ場を設置・運営する設置運営会社(以下、会社)に対し、
会員は預託金を納入することにより、会社からゴルフ場の利用を認められるという関係にあります。
ゴルフ場の設置には多額の資金を必要としますが、預託金があることにより、
会社は金利支払不要の資金を得ることができ、ゴルフ場の設置が円滑に行えることになり、
会員もゴルフ場の利用が確実になるというメリットがあります。
しかし、預託金の法的性質は、会員から会社に対する無利子の消費預託(民法666条)であると考えられますので、
償還期間が来れば会社は預託金を返還しなければならず、
一方的に会社が償還期間を延ばすということはできません。
通常、預託金制のゴルフ場であっても、理事会が置かれ、新たに会員になろうとする者の審査や、
償還期限の延期のような重大な事項については、理事会で審議・承認することになっています。
では、理事会で承認されたことは、個々の会員を拘束するのでしょうか。
理事会のメンバーは会社によって任命されるのが一般的であり、
会員の代表というよりは、会社の組織の一部であると考えられますので、
理事会で承認されても、それは会社の手続きに過ぎず、
個々の会員に対して据置期間の延長の効力を主張することはできません。
したがって、個々の会員は、償還期限の満了と退会の申し出を理由として、
預託金の返還を請求することができ、多くの裁判例も預託金返還の請求を認めています。
もっとも、バブル崩壊後はどのゴルフ場も経営が苦しく、
多数の会員が一斉に預託金の返還を請求すると会社の資金が不足して倒産してしまう可能性があります。
このため、預託金の償還期限延期に当たっては、会員からみてそれなりに納得できるようなメリット
(会員権の分割等)を会社が提示して、
それにより個々の会員の合意を取り付けることも多いのですが、本相談の場合はそれもないようです。
最後に年会費についてですが、
これはゴルフ場施設の維持運営費用の一部を利用者である会員に毎年負担させるものと考えられ、
いわば会員としての地位に求められる負担ということができます。
したがって、先に述べたような償還期限延期の合意の条件として、
年会費の引き下げや免除が提示される可能性は考えられますが、
償還期限の延期を受け入れたから当然に年会費を支払わなくてよいということにはなりません。
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国民生活の「暮らしの法律Q&A」には興味深い相談が多いです。
弁護士の方が回答しているのですが、
法律用語は難しいものの、優しくかみくだいて説明をされているので参考になります。
どんな場合もまずは専門家に相談するのが大事です!
弁護士ではなくても、まずは消費者ホットライン ☎188(いやや!)に相談してみましょう!
難しいことは弁護士さんを紹介してもらったりできます。
トラブルにあわないように予防するのはもちろんですが、
万一トラブルになったら、専門家に相談することも大事です。
あきらめることなく、泣き寝入りせず、まずは相談です🖕
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暮らしの法律Q&A 第140回より
ゴルフ会員権の償還期限が延長されたら?
相談者の気持ち
20年前に預託金100万円を支払ってゴルフ会員権を購入しました。
預託金の償還期限を迎えたため、退会しようと思い運営会社に連絡したところ
「経営悪化のため据置機関を5年延長した。その間の年会費も払って欲しい」と言われました。
勝手に据置期間を延長させたうえに年会費も支払わなければいけないのでしょうか。
小島直樹弁護士
回答
ゴルフ会員権には、株主会員権、社団法人会員権もありますが、
大多数は預託金会員権すなわちゴルフ場を設置・運営する設置運営会社(以下、会社)に対し、
会員は預託金を納入することにより、会社からゴルフ場の利用を認められるという関係にあります。
ゴルフ場の設置には多額の資金を必要としますが、預託金があることにより、
会社は金利支払不要の資金を得ることができ、ゴルフ場の設置が円滑に行えることになり、
会員もゴルフ場の利用が確実になるというメリットがあります。
しかし、預託金の法的性質は、会員から会社に対する無利子の消費預託(民法666条)であると考えられますので、
償還期間が来れば会社は預託金を返還しなければならず、
一方的に会社が償還期間を延ばすということはできません。
通常、預託金制のゴルフ場であっても、理事会が置かれ、新たに会員になろうとする者の審査や、
償還期限の延期のような重大な事項については、理事会で審議・承認することになっています。
では、理事会で承認されたことは、個々の会員を拘束するのでしょうか。
理事会のメンバーは会社によって任命されるのが一般的であり、
会員の代表というよりは、会社の組織の一部であると考えられますので、
理事会で承認されても、それは会社の手続きに過ぎず、
個々の会員に対して据置期間の延長の効力を主張することはできません。
したがって、個々の会員は、償還期限の満了と退会の申し出を理由として、
預託金の返還を請求することができ、多くの裁判例も預託金返還の請求を認めています。
もっとも、バブル崩壊後はどのゴルフ場も経営が苦しく、
多数の会員が一斉に預託金の返還を請求すると会社の資金が不足して倒産してしまう可能性があります。
このため、預託金の償還期限延期に当たっては、会員からみてそれなりに納得できるようなメリット
(会員権の分割等)を会社が提示して、
それにより個々の会員の合意を取り付けることも多いのですが、本相談の場合はそれもないようです。
最後に年会費についてですが、
これはゴルフ場施設の維持運営費用の一部を利用者である会員に毎年負担させるものと考えられ、
いわば会員としての地位に求められる負担ということができます。
したがって、先に述べたような償還期限延期の合意の条件として、
年会費の引き下げや免除が提示される可能性は考えられますが、
償還期限の延期を受け入れたから当然に年会費を支払わなくてよいということにはなりません。
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国民生活の「暮らしの法律Q&A」には興味深い相談が多いです。
弁護士の方が回答しているのですが、
法律用語は難しいものの、優しくかみくだいて説明をされているので参考になります。
どんな場合もまずは専門家に相談するのが大事です!
弁護士ではなくても、まずは消費者ホットライン ☎188(いやや!)に相談してみましょう!
難しいことは弁護士さんを紹介してもらったりできます。
トラブルにあわないように予防するのはもちろんですが、
万一トラブルになったら、専門家に相談することも大事です。
あきらめることなく、泣き寝入りせず、まずは相談です🖕
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