昨晩、用事を終えて家に着き、慌ててテレビを付けたら、腫れ上がった挑戦者の顔と、傷一つない井上チャンピオンの顔が大映しに。
なんやかんやあって殆ど試合見れてないので、見逃し配信を見ねば!
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さて本題。
厳しい財政状況の中、本市では「西宮市財政構造改善基本方針(以下、方針)」を策定。
財政状況改善に向けた取組が、徐々に進められつつあります。
一方で、私は、この計画の前提とされている「単年度の収支を40億円改善すれば大丈夫!」という考えた自体に、強い違和感を持っています。
というのも、
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●一層の高齢化進行に伴う社会保障費の大幅な増大
●人事院勧告に基づく、大幅な人件費の増大
●市立中央病院と県立病院の統合に伴って発生する巨額の費用
●市の外郭団体である土地開発公社が一時保有し、ゴルフ練習場として貸し出している土地の買い戻し費用
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等、方針では全く(あるいは一部しか)見込まれていない要素が、数多存在するから。
過去の行財政改善の流れの中でも、例えば中央体育館の建て替えのように「いずれ必要になる事業への対策を後伸ばしにして、目先の数字を取り繕った!」というのは、よくある話でして。
そして数多存在する、きちんと見込まれていない問題の中でも、とりわけ大きな課題の一つが、改良住宅の建替えについての話だと思っています
これ、ものすごくザックリ言うと、
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●JR西宮駅の北側に広がる改良住宅の老朽化が進んでいる
→多くの物件が築50年を超えつつあり、遠くない将来、建て替えが必要となってくるが、全く、その見込みが立っていない...
→現時点でも既に巨額の維持管理費用が発生しつつあり、今後、その費用が増大するのは確実
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という問題ですね。
この件、どこかのタイミングで詳しく説明せねば...と思っていたところ、本日、本会議で行われた一般質問で、同僚のかんの議員が取り上げてくれました。
経緯も含めて、よく整理され、まとまった内容なので、ご本人の了解を得て、そのまま紹介させて頂きます。
ちょっと長いですが、よろしければ是非お付き合い下さい。
それでは、どうぞ!
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私は財政構造改善を進めるうえで、本市の公営住宅事業の中で市営住宅の一部である改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替え事業の成否が大きな課題になっているとの観点から、この事業を取り上げ、市の体制強化の必要性を訴えたいと思います。
改良住宅とは、国が不良住宅の密集地区を改良地区に指定して整備改善を進める住宅地区改良事業が実施された際、国と地方公共団体が住宅を撤去された居住者に入居してもらうために整備した公営住宅のことです。
西宮市の住宅地区改良事業は昭和46年、芦原第1地区として津田、中須佐、中殿の各町が地区指定を受けたことで本格的にスタートしました。
48年には中須佐町7号棟が完成しました。
51年には芦原第2地区として森下、神明、芦原の各町の一部も地区指定を受け、これらの地域に改良住宅が順次、整備されました。
改良住宅の特徴は住棟の規模が大きいことです。
改良地区の限られた面積の中に多くの居住者に住んでもらう必要があったためで、5階建て以上の住棟で構成されており、最も高い中須佐町7号棟は14階建てです。
改良住宅は令和6年3月31日現在、25棟あり、管理戸数は1,718戸で、入居戸数は1,326戸です。
入居率は77.2%です。
これら改良住宅は老朽化が進んでおり、昭和 56 年に建築基準法の構造基準が強化される以前に建設され、現行の耐震基準に適合していない旧耐震住棟が中須佐町7 号棟と津田町10 号棟、森下町23 号棟、中殿町1 号棟、森下町21 号棟の5 棟あります。
この5棟の管理戸数は令和5年6月19日現在、計549戸で、入居戸数は411戸です。
南海トラフ地震の発生可能性などが取りざたされている現在、これら旧耐震住棟の対策は緊急を要する課題になっています。
市は普通市営住宅などについて、平成28年に「市営住宅等の耐震化と第 2 次西宮市営住宅建替計画」により順次、建て替え事業を実施し、旧耐震住棟の解消の取り組みを進めてきました。
しかし、改良住宅の旧耐震住棟の耐震化については、普通市営住宅などの旧耐震住棟に比べて築年数が短いことから、この計画の中で建て替え事業の対象外にしました。
改良住宅が建つ改良地区には、建て替え事業を進めるための整備用地がないことに加え、規模の大きい改良住宅の建て替えには巨額の費用が必要であることも考慮されました。
このため、市は平成29 年4月から現在まで、改良住宅全体で新規入居の公募を制限し、新耐震の既存住棟の空き室を確保する取り組みを進めてきました。
市は改良住宅の新耐震住棟の空き室が一定数確保できてきたことに加え、入居者から旧耐震住棟に住み続けることへの不安の声が強まっていることを受け、改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替え事業を進め、耐震性に係る行政課題の解消を図ることとしました。
市は最も古い旧耐震住棟である中須佐町7号棟の入居者を対象にして、新耐震住棟の空き室への住み替え事業を始めることにして今年4月、住民説明会を開催しました。
20戸の募集戸数に対して23件の応募があり、希望が重複する部屋については抽選を行った結果、16戸の住み替えが決まりました。
今月、鍵の受け渡しを行います。
市は今後も旧耐震住棟からの住み替え事業を進め、全ての入居者を新耐震住棟に住み替えてもらい、旧耐震住棟を廃止することで耐震化率100%を目指す方針です。
しかし、この5棟の入居戸数は令和5年6月19日現在、411戸であり、住み替え事業の1回あたりの募集戸数が今回のように20戸の場合において、あと何回、住み替え事業の募集をする必要があるかを考えると、気の遠くなるような作業であることは想像できます。
市は旧耐震住棟の外壁が剥落して、入居者やJR西宮駅に行き来する通行人を含め、直下を歩いている人に直撃する危険性などを想定して、令和6年度にまず中須佐町7号棟の外壁改修事業に着手しています。
この事業費は約1億円です。
住み替え事業の進捗が遅れると、こうした事業費が増大します。
改良住宅の住み替え事業において最も困難な職務は旧耐震住棟の入居者に住み替え事業への了解を求めることです。
旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替えの際には、入居者に対して普通市営住宅等の建て替え事業に伴う住み替えと同様に1戸当たり27万2000円の移転料が出ます。
しかし、旧耐震住棟の入居者の中には、住み替えに難色を示す人もいます。
市ではアンケート調査などを踏まえ、必要に応じて都市局住宅部の職員を個別に訪問させ、それぞれの意向を聞き、住み替え事業への理解を求める取り組みを進めています。
今年3月定例会予算特別委員会建設分科会で、改良住宅の住み替え事業についての組織体制の拡充と職員の十分な配置を求めた私たち会派・ぜんしんの草加智清議員の質問に対して、北田正広副市長はこの事業について「市の様々な懸案課題の中でも特に大きな重点課題であるというふうに認識をしております」と強調し、「令和7年度を目標として組織の拡充に取り組んでまいりたい」と答弁しています。
こうした状況を踏まえて質問します。
【質問①】
今後の取り組みについてうかがいます。
改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替え事業は本市において優先すべき課題の1つだと考えます。
旧耐震住棟の入居者が残った状況が長引けば、入居者の災害リスクが増えるうえ、旧耐震住棟の外壁改修などの維持管理経費が長期的に支出され、財政構造上の大きなリスクにつながります。
入居者の意向を尊重したうえで、住み替え事業の早期完了を目指すべきであり、計画を作成し、完了時期を設定する必要があると考えます。
現在、作成中の財政構造改善実施計画にも住み替え事業の進捗が財政構造上の大きなリスクになる可能性があることを見据え、必要な関連事業費を盛り込んでおくべきだと考えます。
市の考えを聞かせてください。
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【答弁①】
改良住宅は昭和56年以前に建設された5棟が現行の耐震基準を満たしておりません。(以下、「旧耐震住棟」と言います。)
この改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替え事業は、改良住宅の旧耐震住棟に入居されている方が、今後も安心して暮らしていけるよう安全性を確保すると共に、旧耐震住棟の解消による耐震化率の向上を図るものです。
今年度からこの事業に取り組んでおり、まず中須佐町7号棟の居住者を対象に住み替え事業を開始し、この5月に最初の募集を行ったところです。
議員ご指摘のとおり住み替え対象の入居者の中には、旧耐震住棟に住み続けることへの不安をもつ方がおられる一方で、住み慣れた部屋に住み続けたいと希望する方もおられます。
旧耐震住棟から住み替えていただけない入居者がおられる状況が長引けば、入居者への災害リスクが払拭されず、また維持管理経費も抑制されないことにはなりますが、入居者の方が抱える事情も様々であり、生活環境もそれぞれに異なっております。
市としましては、入居者の安全性確保のため、旧耐震住棟から移転していただく必要性を認識しているものの、入居者個々の事情に寄り添いながら一つずつ丁寧に事業を進めていくには、ある程度の時間を掛けて対応することが必要であると考えております。
入居者の意向等をしっかりと確認しながら住み替え事業を進め、旧耐震住棟の解消に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替えについては、対象者に高齢者が多く、丁寧に進めていく必要性があることからも、現時点では事業の全体計画をお示しすることは困難であると考えております。
しかしながら、新築住宅を建設し、その住宅へ移転していただくのではなく、既存住宅を活用して住み替えていただくことは財政負担の軽減にも繋がる取り組みであると考えております。
今後とも事業を着実に進めていけるよう適切な予算要望等を行い、効果的・効率的な事業の推進に努めてまいります。
【質問②】
市の体制強化についてうかがいます。
改良住宅の住み替え事業については都市局住宅部住宅入居・家賃課の4人の職員を中心に、他の住宅部職員も通常業務と並行して協力しながら、進めています。
個別に入居者を回り、それぞれの意向を聞き、住み替え事業への理解を求める業務は手間がかかり、精神的な負担にもなる作業です。
4人の職員が勤務する池田庁舎の1室はとても狭く、職場環境は良好とは言えません。
住み替え事業が財政構造改善などの観点から高い重要度を有することを踏まえ、体制を強化し、職場環境を改善すべきだと考えますが、市の考えを聞かせてください。
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【答弁②】
今後、改良住宅の旧耐震住棟から新耐震住棟への住み替え事業を着実に進めて行くには、事業の進捗状況に合わせて、効率的に組織体制を構築していく必要があると考えております。
このため、まず、令和7年度には、改良住宅の住み替え事業等に係る体制強化を図り、以降順次、組織体制の拡充を図ってまいりたいと考えております。
また、職場環境の改善についても早急に取り組む必要があると考えており、できる限り早期に執務室の拡充ができるよう、場所の確保に努めてまいります。
いずれの課題につきましても、引き続き関係部局と協議・調整を行いながら、事業の執行体制を強化してまいります。
【まとめて意見要望】
市は昨年10月、令和6年度から5年間の財政構造改善基本方針を作成しました。
令和4年度決算で深刻な財政悪化が表面化したことを受けた措置です。
令和4年度決算の普通会計、つまり一般会計と中小企業勤労者福祉共済事業、公共用地買収事業、母子父子寡婦福祉資金貸付事業の各特別会計を合わせた実質単年度収支は約42億4千万円の大幅赤字でした。
5年度決算でも約38億8千万円の大幅赤字でした。
このような収支不足を財政基金などで補い続けた場合、近い将来、予算編成に支障が出始め、10年度末までに基金が枯渇する可能性があるとみられています。
市は財政構造改善の目標について「財政基金取崩しに依存しない財政体質の確立に向け、直近の収支見通しでは、今後、年度平均で40億円ほどの収支不足が見込まれることから、単年度で40億円以上の収支改善を目指します」としています。
そのうえで、取り組み期間については「令和6年度から10年度までの5か年とし、令和11年度からの収支均衡を目指します」としています。
改良住宅の住み替え事業は財政構造改善の中でマイナス要因を減らす取り組みとしてとらえるべきだと思います。
改良住宅の住み替え事業の深刻な点は旧耐震住棟を解消できない現状が続けば、入居者の安全面のリスクに加え、維持管理費用の増大などの財政面のリスクがどの程度になるかについて把握できていないことです。
関係者の間では、これらのリスクには、財政構造改善に深刻な悪影響を与える可能性があるとの認識が広がっていますが、それには数値化された裏付けはなく、漠然とした不安感だけが漂っている状態です。
「現時点では、全体計画をお示しすることは困難」との答弁でした。
そうであれば、改良住宅について徹底した調査を実施し、この状態が続けば、期間によって、必要な費用がどこまで膨らむかについて数値化した資料を作成してください。
そこには巨額の金額が算出されている可能性があります。
それによって、この問題の重要度が庁内で共通認識になり、現段階で住み替え事業にどの程度の人数の職員を投入すべきかが見えてくるはずです。
住み替え事業においては、入居者の意向を尊重することが大前提ですが、多くの職員がこの事業に投入され、入居者との接触回数が増え、住み替え事業の必要性を説明できる機会が増加すれば、旧耐震住棟に住み続けることのリスクへの入居者の理解が進む可能性があると思います。
市として今、できる全てのことをしましょう。
そのことによって禍根を断ち、財政構造上のリスクを減らしていただきたいと思います。
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なお、この話、以前から継続して取り上げている話ではあります。
でも対策は遅々として進んでいないんですよね...
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【ご参照】
市営住宅×管理戸数の削減を図るため、計画的な取組を進めるべきです! @2017年3月のブログ
これからは、より一層、厳しく見ていかなければならないな...と、改めて。
そのことをお約束して、今日のブログは、これにて失礼いたします。
さあ帰って、井上VSドヘニー&武居VS比嘉(いずれも敬称略)見るぞー!