2011年9月30日(金) ソウル二日目となる今日は、フリーの日である。 前日は、ショッピングに街歩き、そして明洞/ミョンドンでの夕食を楽しんだ後は『ナンタ』を堪能し、充実した一日であった。
さて、今日はどうしよう?
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朝起きるとガイドブックを取り出し、あそこに行こうか? いやいやこっちかな? うん、ここがよさそうだ! ということで、今日の行き先を決定。 その日の天気と気分で行き先を決めることができるこの自由さが、フリープランの楽しいところ。
ホテルで豪華な朝食を楽しんだ後、地図とガイドブックを持ち、ホテルを出た。
少し離れた場所にある地下鉄の駅に向かったのだが、まだこの街をたっぷりと歩き回っていないので、方向感覚/位置関係が、頭の中に回路がしてできあがっていない。
これが、くまなくしっかりと街を散策し、方向感覚と位置関係が直感的に分かるようになると、『ああ、ようやくこの街に馴染んで来たな』と気持ち良く旅を楽しむ事ができるようになる。 明日にはそうなりたいものだ。
少し方向を間違ったかなと感じたが、ハングルが全く読めないので、街のあちらこちらに立っているお巡りさんに、ガイドブックの例文を見ながら声を掛けた。
地図を指差し、乗りたい地下鉄の駅の名を言うと、若いお巡りさんが片言の英語で道順を教えてくれた。 『カムサハムニダ!』
地下鉄の駅に行くと、こんどはチケットの買い方が分からない。 うろうろしていると、駅に立っている職員の方から、チケット販売機で日本語表示が選べる事を教えていただいた。 『うーん、これは便利だなあ』

なんとかチケットを購入したが、こんどはどちらのホームに降りたら良いか分からない。 先ほどの職員の方に、『スウォン』と言いながら右と左を指差すと、こちらという感じで降りるホームを教えていただいた。 『カムサハムニダ!』
以前の釜山一人旅でもそうであったが、ハングルは全く分からない私にとって、ガイドブックを指差しながらのその場しのぎの一言ハングルと片言の英語、そして表情とジェスチャーでやりとりしながら、なんとか旅を続けることができる事がとても楽しいのである。
家庭を持った後、30半ばで『深夜特急』に出会い、深夜特急のような旅に憧れた私が、その雰囲気をほんの少しだけでも楽しめるのが、言葉の通じない韓国旅なのだ。
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電車に乗り、目指す『スウォン/水原』までは約1時間。

途中、突然カートを引いたおじさん/おばさんが乗り込んで来て、口上を喋りながら靴や靴下の車内販売を始めたのには驚いた。 うーん、韓国はなかなかディープやのう。
また、地下鉄のシートがステンレス製。 クッションも貼っていない、ステンレス剥き出しのシートなのである。 『へえ、さすがステンレス好きの韓国。 箸や食器は知っていたが、電車のシートまでステンレスだとは驚いた』
これについては、3日目のバスツアーのガイドさんに聞いてみたところ、数年前に地下鉄での放火事件があって犠牲者が出てから、燃えないようにステンレス製のシートへの切り替えが進みつつあるのだとか。 『なるほど』
水原駅を降り、観光案内所へ。 水原城に行きたいのだが、歩いたらどれくらいか?と聞くと、約40分程度とのこと。 バスかタクシーが良いですよと言われ、タクシーならこれを見せてと、紙切れをくれた。
なるほど、これを見せればいいんだな。 タクシー乗り場に行き、昨日のガイドさんのアドバイスに従って黒い模範タクシーを探す。
白い一般タクシーはズラリと並んでいるのだが、停まっている模範タクシーは一台だけ。 窓をノックして開けてもらい、先ほどの紙切れを見せると、首を振りながら後席を指差す。 見ると、お客さんが乗っているではないか。
韓国のクルマは、前も後ろもサイドウインドーがダークガラスになっているクルマがほとんどであり、お客さんが居るかどうか見えなかったのである。
仕方なく、一か八かだってことで、白い一般タクシーに。

先ほどの紙切れを見せると頷いた。 自動ドアではないので、自分でドアを開けて乗り込む。 あまり運転手さんに話し掛けるとボラレる対象になる可能性があるとの、昨日のガイドさんのアドバイスを思い出し、黙ってシートに座っている私と妻。
水原城が近付くと、『イルボン?』と聞かれたので頷き、『イングリッシュ OK?』と来たので『ア、リトル』と返し、少しだけ会話。
とても感じの良い運転手さんであり、英語も通じるのなら、もっとお話すれば良かったなあ。 気は抜けないが、でもこれで一般タクシーに乗るハードルが少し下がった。
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チケットを買い、しばし散策。 大きなもんの前では、ちょうど昔の武芸を見せる出し物が始まったところ。 最高の行楽日和の下、妻と二人でしばし観覧。

その後は坂を登り、高台にある見晴らしの良い門へ。 『うん、これは良い眺めだ』

それにしてもソウル近郊は、アパート団地(日本で言うマンション)が多い。 あちらこちらに高層アパートが立ち並んでいる景色は圧巻。

しばし眺望を楽しんだ後は、歩いて下の門へ。
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ここからは、しばし歩いてタクシーを降りた場所に向かい、再びそこからタクシーで駅に戻る予定。
歩いている途中で見つけたのが、自動車のドアに付いているクッション材。 『なんなんだ、これは?』 まだ新しくデザインも良い乗用車に、そのデザインを台無しにする様なクッション材が取り付けられている。 デザインよりも、ドアを開ける時にぶつけて傷がつくのを防ぐ方を選ぶのかな? 興味深い国民性。

また、シットオントップのシーカヤックが使われているポスターも発見。 ハングルが読めないので何のポスターが分からないが、韓国でもシーカヤックは認知されているようである。
タクシーを拾い、帰り用の紙切れを見せて、無事駅に戻って来た。
駅でチケットを買おうと券売機に行くと、日本語表示の選択がない。 『えー、マジ』 でもよく見ると、Englishの選択ボタンが。 『ああ、良かった』
でもそのタッチパネルを押しても、英語表記に変わらない。 何度押しても、他の券売機に行っても同じである。。。
目の前の画面は、まるで記号が並んでいる様なハングルのみ。 これは帰れないか!
立っている駅員さんに声を掛け、地図を指しながら、『ソウル。 シチョン』と言うと、スイッチを押して駅を選択してくださり、紙幣を選んで券売機に入れてくださった。 『あー、助かった。 カムサハムニダ!』
少しヒヤヒヤものではあったが、これもまた旅の楽しみ。 再び地下鉄でソウルまで戻る。

賑わう南大門を歩き、ソウルタワーへ。
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エレベータ、ケーブルカーを乗り継ぎ、ソウルタワーの展望台へ。

晴れて雲一つない今日は、絶好の展望台日和。

なるほど、昼間に来るのもなかなか良いなあ。

展望台のカフェで、コーヒーを飲みながら、しばし眺めを楽しむ。
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夜景を見に行く前に、まずは晩ご飯。

今日は焼肉。 リーズナブルなセットでおいしい焼肉を食べ、ビールを飲む。 肉を食べ終えた後は、カンケジャンやキムチをつまみに、まっこりを飲む。
このまっこりは、酒に弱い妻でも大丈夫のようで、多いかなと思った小さな薬缶のまっこりを、二人で飲み干すことができた。 まっこり旨いなあ。 気に入った!

グビリグビリとまっこりを飲んでいると、隣のテーブルから日本語が聞こえて来た。 妻が、『あれ、広島の人じゃない?』
聞いていると、まさに広島弁である。 お隣さんは、お母さんと若い娘さんの二人組。 買い物ツアーかな?
『こんにちは。 もしかして、広島からですか?』と声を掛け、しばし歓談。
こんな所で広島弁を聞くとは。 世間は狭いものである。 『では良い旅を!』
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ロッテホテルの前で模範タクシーに乗り込み、『ソウルタワー、OK?』 すると『OK。 送っていって、そこで1時間待ってまたホテルまで、4万ウオンでどうですか?』との事。 安いなあ、『じゃあそれでお願いします』

金曜日の夜と言う事で、ソウルタワーは大賑わい。 観光バスにタクシーがズラリ。 団体客に、デートのカップル。 徒歩で、そして町中ではほとんど見かける事のない自転車で登ってくる人も結構居る。

さすが、1200万人クラスの大都市、ソウル。 夜景も素晴らしい。
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タクシーでホテルまで戻り、再び街を散策。 この妖し気な雰囲気がとても好もしい。
ようやく部屋に戻ると、テーブルに『フルーツのセット』が。

どうやら、昨日の夜のトラブルのお詫びのようだ。
昨夜、11時前頃に突然、壁から工事をする電動工具の音が大きく響いて来て、それが30分くらい続いたのである。 さすがに眠れず、フロントに電話をしたのだが、調べてみますとの事。
フロントから折り返しの電話は掛かってこないし、音は続いているしで、再び電話し、部屋に来て音を聞いてみてくれと伝えても、スタッフはやってこない。
そんなこんなしているうちに、さすがに工事の音は収まり、ようやく寝る事ができたのだ。
初日のチェックイン時の掃除事件に加え、夜中の工事騒音事件。 旅も充実し、なかなか想い出深いソウル珍道中になりそうな予感。
せっかくだからと、おいしいブドウとマンゴーを夜食にいただき、眠りについた。 『おやすみなさい』