2009年12月8日(火) 今日は先月分の休日出勤の代休。 週の半ばの一日だけの休みであり、キャンプツーリング派の私は海に出る気にはならないが、せっかくの晴天の一日。 たっぷりと楽しむ事にしよう!

***
今回の元々の目的は、数年前の『家船調査のフィールドワーク』で豊島を訪問した時に知り合った、『豊島合同回漕店』&『よりんさい屋』の北谷さんに久し振りにお会いするとともに、豊島名物である『ひじき』と『太刀魚一夜干し』を仕入れてくる事であった。
ところが、朝起きて晴れた空を眺めている時に、『斎島!』というキーワードが浮かんで来た。
おー、斎島。 シーカヤックで一度訪ねた事はあるが、ちょっと休憩しただけで、目的地である岡村島に向けて出発した。
この島には豊島から定期船も出ているし、小さな島だから船の時間次第では日帰り訪問できるかも!
すぐさまPCを起動し、定期船の時刻をチェック。 すると、お昼前後に約1時間半ほど滞在可能なタイムスケジュール。 これは、行くしかないでしょう!
***
北谷さんには、斎島から戻る午後1時過ぎに訪問する事を連絡し、豊島の豊浜港へ向かう。
同栄丸に乗り込み、斎島へ。

船を降り、対岸を眺めると豊島&大崎下島。 いつもと違う景色は新鮮である。
***
『マナイタ浜』に向けて島の狭い道を歩いていく。 家は多いが、どうやらそのほとんどが空き家のようだ。

竹林の間を抜ける狭い山道を登り、峠を越えると目の前は四国の海。

どこまで続くのかと思うような長い下りが途切れると、唐突に目の前に海と浜が広がる。 ここが、マナイタ浜。
静かできれいな浜である。 キャンプにはピッタリだ!
浜辺に座り、テルモスに詰めてきた温かい紅茶を飲み、豊島の小さな商店で購入したコロッケを頬張る。 うーん、美味い!
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だれも居ない浜で、しばし一人だけの静かな時間を堪能し、再び急な山道を登って島の北側へと戻る。

漁港の隅っこに人影が見えた。 ちょっと行ってみるとしようか。
***
『こんにちは。 これはヒジキですか?』 『おー、こんにちは。 そうよ、ヒジキを干しとる』

『いつもは漁をしとられるんですか?』 『そうよ。 わしゃあ漁師。 あそこに舫ってある3隻の船はわしんよ。 何年か前までは、5隻持っとったが、売ってしもうた。 今は3隻』
『昔は、鯛や太刀魚、メバルなんかがえっと釣れよった。 最近は魚が減ったのう。 アビ漁? ありゃあ20年位前までやりよったよ』
そうこう話をしていると、手押し車を押しながら一人のおばあちゃんが歩いてきた。 『こんにちは』 『ああ、こんにちは。 何の話をしょうったんね?』 『ええ、島の昔の話を伺いよったんですよ』
『ほうね。 昔の話ね。 私が嫁に来た頃は、この島に200人くらい住んどった』 『じゃあ、外から嫁に来られたんですか』
『わたしゃあ、ここに産まれたんじゃないよ。 蒲刈から嫁に来た』 『ほうですか。 そのころはどうじゃったですか?』
『あの頃はねえ、人は多かったし、あちらこちらに畑を作って、麦や芋なんかをみんながつくりよったね。 でも百姓は、日中は畑で働いて、終わったら家に戻って、そんな家と畑の往復だけじゃけん、他の人に会ういうことはほとんどなかったねえ』
『ここは、漁師だけじゃなかったんですか』 『ほうよ。 百姓も、漁師も両方おったよ。 昔は除虫菊もようけつくりよって、風が吹いたら岡村島まで匂いが行きよったいうし、藍島あたりを通る船からも匂ってきたいうて言いよったわい』
『こんな小さな島じゃけど、集落ごとにいろいろあって、喧嘩が多かったねえ。 わたしゃあ、蒲刈から来た時に、こかあ喧嘩の島か、いうて思いよったくらい、なんかで集まって飲みよっちゃあ喧嘩ばっかりじゃったねえ』
『この島には会社がないじゃろう。 じゃけえ、ほとんどの人は飯を食うために外に働きに出て行く。 残っとったのは、この人や私らくらいよ』 『家はほとんど空き家じゃけど、盆や正月には帰ってくるけえ、人には貸せんのんがほとんど。 それでも今じゃあ、4人くらいの人がこの島に移ってきたけどの』
『これはヒジキ。 でもそんなにお金にはなりゃあせん。 今年は少ないけえ、頼まれた注文を断りよるくらい』
***
その後も、『どこから来た? 呉? わたしゃあ呉の武田製網で働きよったんよ』 『呉のあそこ、今はどうなっとるじゃろうか? ほうね、もう当分いっとらんけえね』 『昔はちんちん電車が走りよったよね。 あそこの十何丁目のところにあった○○は懐かしいね』などなど、ローカルな話題で盛り上がった。

『お、そろそろ船着き場に行ったほうがええよ。 乗り遅れたら夕方までないで』 『はい、ほんまにいろいろ聞かせてもろうてありがとうございました』 『またきんさいよ』 『ええ、また絶対来ますよ!』
朝の思いつきで突然訪ねた斎島。 偶然出会った漁師さんとおばあちゃんから、これまで知らなかった斎島の昔の生活を伺うことができ、思いがけなくも『あるくみるきく_斎島散策』となった。
***
豊島に戻り、『よりんさい屋』で北谷さんと1時間弱の楽しい一時。
夏に4回実施したシーカヤック教室の報告をして、来年の『旅する櫂伝馬プロジェクト』の応援をお願いし、とびしま海道を盛り上げる会についてのお話を伺った。 帰りには、妻から頼まれたヒジキと、私が好きな太刀魚の一夜干しを購入
その後少し遅いお昼ご飯にと立ち寄った、おいしいお好み焼きのマリちゃんは、残念ながら閉店準備中で、『あんたあ、なにしよるん。 もっと早うこんと!』 『えー、今日は終わりですか! 残念、また来まーす』と、ちょっとした落ちがついたものの、予想以上に充実した、平日の代休の一日。
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『あるくみるきく_斎島散策の旅』 こりゃあ、なかなかええ休みじゃったのお!

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今回の元々の目的は、数年前の『家船調査のフィールドワーク』で豊島を訪問した時に知り合った、『豊島合同回漕店』&『よりんさい屋』の北谷さんに久し振りにお会いするとともに、豊島名物である『ひじき』と『太刀魚一夜干し』を仕入れてくる事であった。
ところが、朝起きて晴れた空を眺めている時に、『斎島!』というキーワードが浮かんで来た。
おー、斎島。 シーカヤックで一度訪ねた事はあるが、ちょっと休憩しただけで、目的地である岡村島に向けて出発した。
この島には豊島から定期船も出ているし、小さな島だから船の時間次第では日帰り訪問できるかも!
すぐさまPCを起動し、定期船の時刻をチェック。 すると、お昼前後に約1時間半ほど滞在可能なタイムスケジュール。 これは、行くしかないでしょう!
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北谷さんには、斎島から戻る午後1時過ぎに訪問する事を連絡し、豊島の豊浜港へ向かう。
同栄丸に乗り込み、斎島へ。


船を降り、対岸を眺めると豊島&大崎下島。 いつもと違う景色は新鮮である。
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『マナイタ浜』に向けて島の狭い道を歩いていく。 家は多いが、どうやらそのほとんどが空き家のようだ。


竹林の間を抜ける狭い山道を登り、峠を越えると目の前は四国の海。


どこまで続くのかと思うような長い下りが途切れると、唐突に目の前に海と浜が広がる。 ここが、マナイタ浜。
静かできれいな浜である。 キャンプにはピッタリだ!
浜辺に座り、テルモスに詰めてきた温かい紅茶を飲み、豊島の小さな商店で購入したコロッケを頬張る。 うーん、美味い!
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だれも居ない浜で、しばし一人だけの静かな時間を堪能し、再び急な山道を登って島の北側へと戻る。


漁港の隅っこに人影が見えた。 ちょっと行ってみるとしようか。
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『こんにちは。 これはヒジキですか?』 『おー、こんにちは。 そうよ、ヒジキを干しとる』

『いつもは漁をしとられるんですか?』 『そうよ。 わしゃあ漁師。 あそこに舫ってある3隻の船はわしんよ。 何年か前までは、5隻持っとったが、売ってしもうた。 今は3隻』
『昔は、鯛や太刀魚、メバルなんかがえっと釣れよった。 最近は魚が減ったのう。 アビ漁? ありゃあ20年位前までやりよったよ』
そうこう話をしていると、手押し車を押しながら一人のおばあちゃんが歩いてきた。 『こんにちは』 『ああ、こんにちは。 何の話をしょうったんね?』 『ええ、島の昔の話を伺いよったんですよ』
『ほうね。 昔の話ね。 私が嫁に来た頃は、この島に200人くらい住んどった』 『じゃあ、外から嫁に来られたんですか』
『わたしゃあ、ここに産まれたんじゃないよ。 蒲刈から嫁に来た』 『ほうですか。 そのころはどうじゃったですか?』
『あの頃はねえ、人は多かったし、あちらこちらに畑を作って、麦や芋なんかをみんながつくりよったね。 でも百姓は、日中は畑で働いて、終わったら家に戻って、そんな家と畑の往復だけじゃけん、他の人に会ういうことはほとんどなかったねえ』
『ここは、漁師だけじゃなかったんですか』 『ほうよ。 百姓も、漁師も両方おったよ。 昔は除虫菊もようけつくりよって、風が吹いたら岡村島まで匂いが行きよったいうし、藍島あたりを通る船からも匂ってきたいうて言いよったわい』
『こんな小さな島じゃけど、集落ごとにいろいろあって、喧嘩が多かったねえ。 わたしゃあ、蒲刈から来た時に、こかあ喧嘩の島か、いうて思いよったくらい、なんかで集まって飲みよっちゃあ喧嘩ばっかりじゃったねえ』
『この島には会社がないじゃろう。 じゃけえ、ほとんどの人は飯を食うために外に働きに出て行く。 残っとったのは、この人や私らくらいよ』 『家はほとんど空き家じゃけど、盆や正月には帰ってくるけえ、人には貸せんのんがほとんど。 それでも今じゃあ、4人くらいの人がこの島に移ってきたけどの』
『これはヒジキ。 でもそんなにお金にはなりゃあせん。 今年は少ないけえ、頼まれた注文を断りよるくらい』
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その後も、『どこから来た? 呉? わたしゃあ呉の武田製網で働きよったんよ』 『呉のあそこ、今はどうなっとるじゃろうか? ほうね、もう当分いっとらんけえね』 『昔はちんちん電車が走りよったよね。 あそこの十何丁目のところにあった○○は懐かしいね』などなど、ローカルな話題で盛り上がった。

『お、そろそろ船着き場に行ったほうがええよ。 乗り遅れたら夕方までないで』 『はい、ほんまにいろいろ聞かせてもろうてありがとうございました』 『またきんさいよ』 『ええ、また絶対来ますよ!』
朝の思いつきで突然訪ねた斎島。 偶然出会った漁師さんとおばあちゃんから、これまで知らなかった斎島の昔の生活を伺うことができ、思いがけなくも『あるくみるきく_斎島散策』となった。
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豊島に戻り、『よりんさい屋』で北谷さんと1時間弱の楽しい一時。
夏に4回実施したシーカヤック教室の報告をして、来年の『旅する櫂伝馬プロジェクト』の応援をお願いし、とびしま海道を盛り上げる会についてのお話を伺った。 帰りには、妻から頼まれたヒジキと、私が好きな太刀魚の一夜干しを購入
その後少し遅いお昼ご飯にと立ち寄った、おいしいお好み焼きのマリちゃんは、残念ながら閉店準備中で、『あんたあ、なにしよるん。 もっと早うこんと!』 『えー、今日は終わりですか! 残念、また来まーす』と、ちょっとした落ちがついたものの、予想以上に充実した、平日の代休の一日。
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『あるくみるきく_斎島散策の旅』 こりゃあ、なかなかええ休みじゃったのお!