アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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秋篠宮佳子氏のジェンダー発言は何を意味するか

2023年11月06日 | 天皇制と差別・人権・民主主義
  

 秋篠宮家の次女、佳子氏の活動がメディアで取り上げられることが多くなっています。5日もNHKはペルー訪問のようすを詳しく報じました(写真右)。手話パフォーマンスもさかんに流されます。

 その同氏が先日、注目すべき発言を行いました。東京都内で開かれた「ガールズメッセ2023」(ガールスカウト日本連盟主催、10月22日)に出席した際、「表彰式を前に」語ったものです。

「社会の中では、大人から子どもへ、無意識なものも含め、偏った思い込みが伝わっていることが多々あると感じます」「そのようなことがないよう、私自身も気をつけようと思うと同時に、ガールスカウトの活動が、次世代を担う子どもたちがジェンダーにとらわれず自分の思い描いた未来に向かっていくことにつながるよう願っております」「今後、ジェンダー平等が達成されて、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらが当たり前の社会になることを心から願っております」(10月22日付朝日新聞デジタル、写真左も)

 「一般市民」の発言なら至極当然のことしか言っていません。しかし、これが皇族とりわけ皇嗣の次女の発言とあっては見過ごせません。なぜなら、天皇制(皇室)こそは日本のジェンダー差別の根源だからです。

 皇室典範は第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と明確に女性天皇を禁じています。また、同12条は「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」としており、佳子氏の姉の眞子氏がこの規定によって皇室から排除されたのは周知のことです。

 政府は皇室典範を憲法に次ぐ重要法規としていますが、それは明確な女性差別を規定したものです。そして憲法第2条は「皇位は、世襲のものであって…皇室典範の定めるところにより、これを継承する」としています。「象徴天皇制」は明白な女性差別制度であり、それを規定している憲法は改正しなければなりません。

 その天皇制の根幹である女性差別についての佳子氏の発言。もちろん直接天皇制について述べたものではありませんが、暗に天皇制を批判したものとも受け取れます。

 天皇はじめ皇族の公式発言(開会あいさつ等)は事前に宮内庁によってチェックされます(宮内庁が原案を作成するのかもしれません)。そうでなければ憲法(第3条)上問題です。
 ところが、上記の発言は「表彰式を前に」行われたといいます。つまり非公式発言で、宮内庁の事前チェックが及ばなかった可能性があります。

 宮内庁が事前チェックしていたとすれば、天皇制の実態を棚上げして「皇族のリベラル性」をアピールしようとした詐術ということになります。

 宮内庁が事前チェックしていなかったとすれば、佳子氏の暴走ということになります。これは政治的問題に対する皇族の個人的な見解表明を禁止している象徴天皇制の下では許されることではありません。

 佳子氏はそれを承知の上で、天皇制のジェンダー差別を暗に意識しながら発言したものとも考えられます。そうだとすれば、天皇制は、皇嗣の娘も対外的に批判を口にせざるをえないほど時代錯誤の差別制度だという証明です。
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