アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「最後は金目」ではない生き方-上関、辺野古そして・・・

2014年06月21日 | 原発・放射能と政治・社会

PhotoPhoto_2 「最後は金目だろ」発言で不信任案を突き付けられた石原伸晃環境相(写真左)は、不本意だったでしょう。「だってその通りじゃないか。みんなそう思っているだろ」と内心つぶやいていたに違いありません。

 その通り。住民の反対をカネで「決着」させようという発想と手法は、もちろん石原氏だけでなく、歴代政府・自民党、権力者の常套手段ですから。

 しかし、世の中には、そんな自民党・国家権力の「常識」が通用しない人たちもいるのです。

 石原発言とは無関係に、偶然時を同じくして、1通のメールが拡散で送られてきました。
 「上関原発に反対する祝島の漁師さんに500万円届けようキャンペーン」です。

 中国電力が山口県上関町に建設を強行しようとしている原発。それを32年間、体を張り、生活をかけて阻止し続けている祝島の漁師のみなさん(写真右=支援グループのHPから)。

 中国電力は上関町に56億5000万円の交付金(2011年時点)、周辺8漁協に計125億円(祝島漁協へは約10億円)の補償金をばらまき、反対を抑えてきました。
 確かに多くはこの「金目」で懐柔されました。しかし、今なお、カネに屈服しないで頑張っている人たちがいるのです。

 「キャンペーン」発起人(湯浅正恵さんら)のメッセージから。
 「水揚げは減り魚価が低迷する中、補償金受け取りを強要する県漁協の下で、祝島漁協は深刻な経営危機に直面しています。漁師さんたちは原発建設の補償金を拒むためにも、年金をつぎ込んで組合員を続けてきました。追いつめられています。もう祝島の漁師さんたちだけで背負うのは限界です」
 そこで「補償金を拒む組合員の負担分500万円」を7月末までにカンパで集めようという呼びかけです。

 希少生物が生息する美しい海の埋め立て。それに反対する漁協をカネで抑える。沖縄・名護市の辺野古もまったく同じです。違うのは上関が原発なのに対し、辺野古が米軍基地だということ。
 辺野古でも漁協は多数決で補償金の受け取りを決めましたが、今もカネに屈せず闘い続けている人たちが大勢います。

 人間にとって、社会にとって、金よりも大切なものがあることを、この人たちは教えてくれています。
 しかし、生活を維持しなければならないのも現実です。だから「最後は金目」発言が出てくるのです。
 「キャンペーン」はカネに負けない闘いを個人だけの負担にしないで、みんなで支え合う大切さを示しています。

 金よりも大切なもの、生活を賭けてでも守り抜かねばならないもの。
 それは原発や基地の危機にさらされている漁師さんだけではもちろんありません。長時間労働に追われている会社員、非正規社員、アルバイト・・・。
 
 日常生活に追われているすべての人々が問われています。
 「最後は金目」ではない生き方とは?

 <気になるニュース>

 放射能汚染に「身を挺せ」という森元首相


 18日付中国新聞の短信(共同電)。佐藤雄平福島県知事が17日の記者会見で、東電福島第1原発がある県沿岸部の国道で、「2020年東京五輪の聖火リレーをしてほしい」と述べました。
 そこに同席していた森喜朗元首相(五輪組織委員長)、記者から、「福島県が合宿地に名乗りを上げても海外選手が来ないのでは」と質問され、こう答えました。

 「風評被害で選手が来ないなんてことはあってはならない。そういうことがあれば、まず日本代表が身をていするという精神で合宿すればいい」

 「汚染水は完全にコントロールしている」という五輪招致の時の安倍首相の国際表明が、完全にウソだったことはいまや明白です。

 日本よりも放射能汚染に厳しく、敏感な外国人選手が福島での合宿を回避するとしても、それは風評被害ではありません。いまだに有効な対策をとっていない政府と東電の責任です。

 放射能汚染への抜本的対策を棚上げしたまま、日本人選手に「身を挺する精神」で福島で合宿させようとする森氏。本末転倒です。「お国」のために身を捧げることが強制された戦時中の「報国挺身隊」をほうふつとさせます。
 

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