アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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韓米合同軍事演習と日本

2021年08月28日 | 朝鮮半島・在日コリアン差別と日本

   

 米軍と韓国軍の合同軍事演習が16日から26日まで行われました(事前演習は10~13日)。日本では大きく報じられることもなく、関心をもつ人も多くないと思われますが、実は日本・日本人にとってもたいへん重要な問題です。

 アメリカによる韓米合同軍事演習の強行は、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)との合意に反する露骨な挑発行為です。

 アメリカのソン・キム北朝鮮担当特別代表は23日、韓国を訪れ、記者会見で「防御のための訓練だ。米国は北朝鮮に敵対的な意図を持っていない」と述べました(24日付共同、写真中の左)。これは相手に銃口を向けながら握手を求めるに等しい、侵略者の言い分です。

 一方、朝鮮は1日、キム・ヨジョン(金与正)副部長の10日の談話で、「わが国を力で圧殺しようとする米国の対朝鮮敵視政策の最も集中的な表現」(11日付ハンギョレ新聞電子版)だと批判しました。

 朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)委員長とアメリカのトランプ大統領(当時)は2018年6月12日、シンガポールで初めて会談し、「共同声明」を発表しました(写真右)。その際、トランプ氏は記者会見でこう述べました。

北朝鮮と対話継続中は米韓合同軍事演習を中止する。米韓演習は挑発的だ」(2018年6月13日付共同)

 韓米合同軍事演習がこの大統領の言明に反していることは明白です。朝鮮の批判は当然です。

 問題は日本です。

 岸信夫防衛相は、「米韓の共同演習は朝鮮半島の平和と安定に資するためのものと考えている」(10日の記者会見)と、米国の言い分そのままに合同演習に賛意を示しました。

 日本のメディアも、「北朝鮮は…演習に反発して対抗措置を警告していたが、期間中に目立った対応を取らなかった」(27日付共同)など、相変わらず朝鮮敵視を煽る報道に終始しています。

 こうした日本の政府、メディアの姿勢は、根本的に間違っています。

 第1に、アメリカの対朝鮮敵視政策の根源は朝鮮戦争(1950年6月25日勃発)です。その朝鮮戦争は、休戦協定(1953年7月27日)が結ばれているだけで、まだ終結していません。朝鮮戦争の元凶は日本の植民地支配であり、また日本は朝鮮戦争自体にもアメリカに様々な形で加担しました。さらに、「朝鮮戦争特需」で今日の日本経済の土台がつくられました。日本は朝鮮戦争、朝鮮半島の分断に直接責任があるのです。これは「知らない」ではすまされない歴史の事実です。

 第2に、韓米合同演習は韓米軍事同盟にもとづくものですが、それはアメリカを鎹(かすがい)として日米軍事同盟(安保体制)と結びついています。韓米合同演習は日米韓軍事一体化体制の一環といえます。

 朝鮮のキム・ヨジョン副部長は10日の談話でこう言っています。

「米軍が南朝鮮に駐屯している限り、朝鮮半島情勢を周期的に悪化させる禍根は絶対に除去されないだろう。…朝鮮半島に平和を宿らせようと思うなら、米国が南朝鮮に展開している侵略武力と戦争装備をまず撤去すべきだ」(11日付ハンギョレ新聞電子版)

 その通りです。朝鮮半島の平和のためには半島から米軍を撤退させる必要があります。それは、日米安保条約を廃棄して在日米軍を日本から一掃する課題と密接に関連しています。その責任があるのは、私たち日本人です。

 

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