24日夜行われた東京パラリンピックの開会式。選手団の最後に入場した日本選手団には、これまでのパラリンピックにない変化がありました。
それは、「赤と白のユニフォーム、今回初めてオリンピックと統一した」(中継のNHKアナウンサー)ことです。
写真左が今回のパラ選手団のユニフォーム。写真中は東京五輪開会式における日本選手団。まさしく統一(同一化)されています。ちなみに、5年前のリオデジャネイロ・パラリンピックにおける日本選手団のユニフォームは写真右で、下はグレーです。リオ五輪の日本選手団のユニフォームは上が赤、下が白で、今回と反対ですが、「赤と白」は同じです。
これまで五輪選手団のユニフォームは「赤と白」で一貫していたのに対し、パラ選手団のそれは必ずしも「赤と白」ではなかったものを、今回初めて五輪に合わせてパラ選手団も「赤と白」のユニフォームにした、というわけです。
パラ開会式では、「個性」「多様性」が強調されました。ユニフォームの統一はそれに反します。この一事をもってしても、日本政府・組織委が口にする「多様性」がいかにまやかしかが分かります。ではなぜ、あえて統一したのでしょうか。
組織委員会の説明は報道されていませんが、その意図は、ユニフォームの「赤と白」が何を意味しているかを想起すれば明らかでしょう。
「赤と白のユニフォームのコンセプトは、“日本をまとう”です」(7月23日五輪開会式のNHK中継アナウンサー)
「赤と白のユニフォーム」は「日の丸」を表しているのです。
「日の丸」は「君が代」とともに国家主義の象徴であり、侵略戦争・植民地支配・天皇制の象徴です。その「日の丸」を、五輪選手だけでなく、パラアスリートたちにも身に着けさせる。それが今回の「統一」の意図であることは明白です。パラリンピックをいっそうナショナリズムに取り込むものであり、けっして軽視できません。
東京五輪では開会式から競技会場、閉会式まで、「日の丸」「君が代」「自衛隊」が強調されました。パラリンピックでもそれが継続されています。
オリ・パラの選手や視聴者の中で「日の丸」「君が代」「自衛隊」を意識する人は多くないかもしれません。しかし、両大会を通じて、無意識のうちに「日の丸」「君が代」「自衛隊」に対する親和性が醸成されていきます。それが問題であり、そこに国家権力の狙いがあります。
「日の丸」「君が代」「自衛隊」に対する親和性は、日本の侵略戦争・植民地支配の加害責任の忘却、天皇制への同化、そして新たな戦争体制の醸成につながることを銘記する必要があります。