アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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巨額の軍事支援と“バイデン疑惑”は無関係か

2022年12月24日 | 国家と戦争
   

 ウクライナのゼレンスキー大統領が22日訪米し、バイデン大統領と会談してさらなる軍事支援(武器供与)を要求。バイデン氏は、地対空ミサイル・パトリオットはじめさらに2400億円の軍事支援を約束しました。バイデン政権によるウクライナ政府への軍事支援は2・24以降、すでに約212億㌦(約2兆7050億円)にのぼっています(23日付沖縄タイムス=共同)

 ウクライナへの巨額の軍事支援には米国内でも疑問が広がり、「白紙の小切手」を切ることには米議会内でも批判の声が出ているといいます。
 にもかかわらず、バイデン氏はゼレンスキー氏の相次ぐ要求に応え続けています。そこにはもちろん、NATOの盟主としての政治的思惑がありますが、果たしてそれだけでしょうか。バイデン氏とウクライナ政府の特別な関係は巨額の軍事支援とは無関係なのでしょうか。

 バイデン氏とウクライナ政府の特別な関係は、少なくとも2014年の「マイダン革命(クーデター)」から始まりました。

「2014年2月22日以降、警察と(親ロ・ヤヌコビッチ政権)反対派双方による暴力の行使が頂点に達し…反政府系の右派センターや民族急進派、さらにネオ・ナチ勢力が組み、実力で政権奪取の行動に打って出た。この過程で暴力が行使され、大統領・ヤヌコビッチは首都を脱出、政権は崩壊する。これが「マイダン革命」と呼ばれる事件であった」(下斗米伸夫著『プーチン戦争の論理』集英社インターナショナル新書2022年10月)

「“ユーロマイダン革命”から1年後、オバマ政権は米国CNNのインタビューで、この政変へのアメリカの関与を認めている。そして当時、副大統領としてこの政変への対応にあたったのが、ジョージ・バイデンその人にほかならない。その後も彼は、副大統領としてポロシェンコ政権(反ロ政権―私)のウクライナと親交を重ねた。多くのウクライナの人々はそれをよく知っている」(西谷公明氏「続・誰にウクライナが救えるか」、「世界」臨時増刊2022年4月所収)

 こうして副大統領として公的立場でウクライナの反ロ政権と密接な関係を持ったバイデン氏は、やがて、次男の「収賄疑惑」というきわめて私的な問題(醜聞)でもウクライナと深くかかわっていきます。

 2年前の大統領選挙を前に、「ウクライナ疑惑」が問題になりました。

「トランプ大統領が(2019年)7月、ウクライナのゼレンスキー大統領に対し、同国の国営ガス会社(ブリスマ・ホールディング)で役員を務めたバイデン前副大統領の息子に関する疑惑を調べるよう求めていた疑いがあると、複数の米メディアが報じた」(2019年9月22日付朝日新聞デジタル)

 「息子に関する疑惑」とは、「次男がウクライナの企業の役員に就任し、多額の報酬をもらっていたこと」(2020年1月29日付朝日新聞デジタル)です。

 さらに重大なのは、バイデン氏が「息子の疑惑」に対する捜査に圧力をかけたといわれる疑惑です。

「バイデン氏は副大統領だった2016年当時、西側諸国や国際機関が進めたウクライナの腐敗一掃に関連し、このガス会社を捜索していた当時の検事総長を解任させようとした。当時、バイデン氏の息子は同社の役員を務めていた」(2019年9月22日付朝日新聞デジタル)

 トランプ氏は、大統領選に利用するために、こうした疑惑をゼレンスキー氏に調べさせようとしたのです。トランプ氏のこの行為が「ウクライナ疑惑」といわれるもので、トランプ氏は米下院で弾劾訴追されました。

 トランプ氏は最も嫌悪すべき「政治家」の1人で、ゼレンスキー氏に圧力をかけ大統領選に利用しようとしたことも決して容認できることではありません。
 しかし、トランプの評価とは別に、上記の“バイデン疑惑”、すなわち、バイデン氏の次男の「多額の報酬」疑惑、そしてバイデン氏自身の「検事総長解任圧力」疑惑自体は、事実ならきわめて重大です。
 たんに重大であるばかりか、それによってバイデン氏はゼレンスキー氏に大きな弱みを握られていることになります。

 “バイデン疑惑”の真相はどうなのか。それはウクライナへの巨額の軍事支援とまったく無関係といえるのか。徹底的に解明される必要があります。
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