ウクライナ戦争でロシア、ウクライナ双方が無人機攻撃を繰り返し、エスカレートさせています。
8月30日のNHK国際報道は、米国防総省のヒックス副長官が、「無人機の大量配備に意欲」と報じました。「ウクライナでの戦闘にも言及」しながら、「小型で精密で安価で大量に生産できる」無人機システムの開発を急いでいるといいます。
アメリカが開発している無人機には、空中ドローンに限らず「無人艦艇」(タクスフォース59)があり、100隻を配備することが当面の目標だとしています。
米国防総省は、陸・海・空各方面で「無人機・自律型兵器システム」の整備を進めており、「ドローンやAI(人工知能)を開発する民間企業との連携を強化」しているといいます。
アメリカだけではありません。
ウクライナがロシア攻撃に使っているドローンには「段ボール無人機」が使われています(2日のNHKニュース)。開発したのはオーストラリアの企業で、「ことし3月オーストラリア政府によるウクライナ支援の一環として無人機の供与が決まった」と述べています(写真右)。
駐オーストラリアのウクライナ大使はSNS(8月29日)に、「オーストラリアから受け取った段ボール製の無人機がロシアの空港への攻撃に使用された」と投稿しています。
イギリス紙「デイリー・メール」は、毎月約100機の段ボール無人機がウクライナに供与され、ロシアへの攻撃や偵察などに活用されていると報じています(NHKニュース)。
ウクライナは無人機をアメリカやオーストラリアなどからの「供与」に依存するだけでなく、「国産化に着手。既に自動運転などが可能な国産無人機の運用を開始した」(8月17日付琉球新報=共同)といわれています。
水島朝穂・早稲田大教授(憲法・法政策論)は、ウクライナとロシアがいったん合意した「イスタンブール和平協議」(2022年3月)を破綻させたのは米欧の「軍産複合体」であり、「この協議が打ち切られたことが、戦争のエスカレーションと長期化に直結した」と指摘しています(「憲法研究」第12号2023年5月)。
上記の実態は、米欧「軍産複合体」の狙いの1つが、ウクライナを「最新兵器の実験場」(同琉球新報=共同)にして、「自律型AI兵器」の開発をすすめることであり、そのために戦争を長期化させていることを示しています。
その「実験場」では多くの人々の血が流れ続けていることは言うまでもありません。これ以上犠牲者を出さないために、そして、AIが人間を殺す悪魔の自律型AI兵器の開発・実用化を阻止するためにも、ウクライナ戦争を即時停戦させることが急務です。