アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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なぜ沖縄に基地が集中するのか―防衛省幹部が吐露した本音

2023年09月21日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊
   

 沖縄県の玉城デニー知事は19日未明(日本時間)、ジュネーブの国連欧州本部で、「県民投票で沖縄の民意を示したにもかかわらず、政府は新基地建設を強行している」と、辺野古新基地建設を強行する自民党政権を批判しました。

 同じ19日。地方紙各紙の朝刊は共同通信配信記事を1面で報じました(京都新聞は1面トップ)。

弾薬庫4道県に整備 長距離弾も保管 24年度に防衛省

 4道県にある陸上自衛隊基地9カ所に弾薬庫を新たに増設することを決めたというニュースです。「反撃能力(敵基地攻撃能力)にも使う長距離ミサイルなどの保管先を増やし、戦闘継続能力(継戦能力)を強化する狙い」(同共同配信記事)です。有事(戦争)になれば真っ先に反撃される可能性が高くなります。

 その4道県とは、北海道、宮崎、鹿児島、沖縄(沖縄市)。いずれも首都圏から遠い自治体です。

 沖縄は2019年に宮古島の陸自駐屯地で、住民をだまし討ちにして迫撃砲弾などを保管する弾薬庫を造り大きな問題になりました。そして、宮古、石垣、与那国などで自衛隊のミサイル基地化が進んでいる中、本島の沖縄市にも長距離ミサイルを置こうというのです。沖縄市には5棟の弾薬庫が計画されています。

 玉城氏の訴えをあざ笑うかのように、時を同じくして報道された沖縄のさらなる軍事基地化(写真左・中)。なぜ沖縄にこれほど軍事基地を集中させるのか。政府は「安全保障上の重要性」といいますが、それだけではありません。

 19日付の共同配信記事には、今回の決定の背景が報じられています。そこには次のような記述があります。

「防衛省は23~27年度の5年間で約70棟、32年度までにさらに約60棟(弾薬庫)を整備する方針。…26年度ごろには全国で工事が加速する見通しで、防衛省幹部はまずは反発が少ないところから整備を進める」と明かす

 「まずは反発が少ないところから」。「反発が少ない」とはどういうことでしょう。沖縄県民が軍事基地強化に強く反対しているのは周知の事実です。「反発が少ない」のは地元のことではありません。「本土」の日本国民のことです。防衛省幹部は、沖縄(や北海道、鹿児島)なら日本国民の反発は少ない、だからまずそこから突破口を開く、と言っているのです。

 ここには、沖縄に軍事基地が集中している理由が端的に示されています。沖縄なら日本国民の反発は少ないという計算があります。
 それはたんに首都圏から遠いからではありません。根底には沖縄(琉球)に対する日本(ヤマト)の根深い(無意識にせよ)差別があります。

 政府(国家権力)はその沖縄差別を利用・助長して沖縄を前線基地にし、日米軍事同盟を深化させ、日本全体を戦争国家にしようとしているのです。
 私たち「本土」の人間はそのことを肝に銘じて沖縄の軍事基地・ミサイル基地化に反対し、日本の戦争国家化を阻止しなければなりません。


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