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好きな作家は東野圭吾さん☆他の作家さんのもいろいろ読んで感想を書いていきたいと思います♪

北國浩二「嘘」~嘘が認知症の父と息子を亡くした娘の頑なな関係を溶かしていく☆~

2022-02-18 03:01:41 | 



北國浩二「嘘」読み終わりました。


読み終わった後も

じんわりと心が温まったままです


犯罪は駄目だよ。


嘘もついちゃいけないよ。


でも


これを読むと


そういうこともあるのかもしれない。


そんな風に思えてしまう。



きっかけは


父の認知症が悪化したことだった。


父と疎遠になっていた娘を


故郷の友が呼び寄せた。



父「孝蔵」とは


ずっと疎遠だった「千紗子」


国語教師をしていた父は


いつも厳しく


千紗子の結婚も許さなかった。



自分の思い通りにしたかった娘


でもその通りに行かない娘を


父は受け入れられなかった。



・・・と


千紗子はずっとそう思ってきた。



息子の誕生も・・


息子の死も・・


何もかも父は受け入れなかった。


そうなのだと。



そんな千紗子が父の面倒を見ることに


快く思うはずはなかった。


認知症の父は千紗子のことも娘と分からず・・


相変わらず横柄な態度で接してくる。



早く介護施設に入れてお役御免になりたいと思っていた。



息子の純を喪った悲しみや喪失感が


未だに抜け切れずにいた千紗子


夫ともそのことがきっかけで離婚してしまう。



そんな千紗子に転機が訪れる!


役所の福祉課に勤める母子家庭で息子を育てている「久恵」


久恵と久しぶりに飲みに行くことになる。


その帰り


飲酒運転の久恵の車に同乗した千紗子


飛び出してきた少年に当たってしまう!!



職を失うのが怖い久恵は


警察や救急車を呼ぶことを拒む



少年は意識を失ってるものの


怪我は大したことない。


とりあえず千紗子のところに連れて行き手当てする。


少年の寝顔に


純を見てしまう千紗子


目覚めた少年に声掛けするも・・


少年は記憶を失っているようだった。



そして


そこから千紗子と偽りの親子関係が始まる!



どうやら少年は川に落ちたらしく


両親が探しているという。



少年の体にはあちこちに煙草の火を押し付けられた痕


そして


足首にはロープの切れた物が結んであった。



親に虐げられていると悟った千紗子は


この子を親元に返してはいけないと思う。


そして


自分にもこの少年が必要だと思う。



少年を自分の子供「拓未」だと言い聞かせる。



少年も次第に千紗子に心を開き



孝蔵とも打ち解けていく



そして


何より拓未がいることで


父と娘の関係も優しいものになっていく




嘘でつながる家族



でもそこには



優しい絆



が生まれていた。



親に愛されなかった少年が


親に愛されていなかったと感じていた娘に


父の本心を見せる鏡の役割をしてくれた



父が感じていたこと


本当は娘を愛していたことを




そして・・


幸せだった家族に


ある日訪れる悲劇




父と娘は?!


娘と少年の親子関係は?!



最後までハラハラドキドキしながら・・


そして


人間の心の奥深さ


そして


人間の脳の不思議



いろんなことを考えさせられた。




私の父も認知症なので


他人事とは思えず


興味深く読ませてもらいました。



父が娘に素直に言えない本心


父にもそういうことがあるのだと思いました。


私もあまり父とは話してこなかったからなぁ。



今父はどんなことを思っているのだろう?


なんて考えてしまいました。



どうして神様は


子供が本当に必要な親から子供を奪い。。


子供を道具としか思っていないような親に


子供を授けるのでしょう。。



理不尽だよなぁ~。



子供は愛されるために生まれてほしいですよね



最後の最後に明かされる嘘



それもまた心が動かされます













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