読書って楽しいね♪

好きな作家は東野圭吾さん☆他の作家さんのもいろいろ読んで感想を書いていきたいと思います♪

朝倉かすみ「平場の月」~須藤の「太さ」が青砥を近づけそして・・遠ざけた?~

2021-01-29 02:32:19 | 

朝倉かすみ「平場の月」読み終わりました。


なんとも・・

いつまでも余韻の残る作品でした。


読み終わってからこんなにも

ずっと考えてしまった作品は珍しいかもしれません。


それというのも

やっぱり

「須藤」と「青砥」の関係が

すごくよかったからかもしれないなぁ。


若い時の恋愛とは違う。


「恋愛」と呼べるのかもわからない関係


それは「須藤」と「青砥」だから


生まれた関係なのかもしれないなぁ。


そんなことも思った。


もし自分が須藤だったら?


こんな風に強く


「太く」いられないんじゃないかと思う。



そんな「太い」須藤葉子


中3の時青砥は須藤に交際を申し込み

断られる。


しかし!


頬を重ねてしまった青砥


その時須藤はこぶしを握っていた。



それきり年月は流れ


須藤と青砥はそれぞれの道を歩む


別々の人と結婚し


青砥は妻と離婚


須藤は夫と死別


そんな二人が偶然出会う。


50代になった2人



多くの年月が流れても


須藤は相変わらず太かった


何事にも動じず


自分の信念を貫く


そんな太さが須藤にはあった。



青砥も須藤も


心の片隅には


ずっとお互いがいた。



青砥は自分だけだろうと思っていたけど


須藤の中でも


青砥の存在は大きかったようだ。


それを青砥は須藤の妹から聞くことになる



須藤が病を患い


そのことで妹と会ったとき聞かされる。



そう


須藤の病が


青砥と須藤を近づけていった。



そして・・


須藤のしぼんだVサインを見破れず


青砥は間違った選択をしてしまう。。


そして


須藤の「太さ」が


青砥を遠ざけてしまう



お互い大切な人だった。


そのままの関係でいたら。。



青砥の後悔は止まらなかった。



須藤から聞いた


その「太さ」の理由となる家族のこと


そして

自分自身を許せないと語った須藤


青砥に寄り掛かった少ない時間を


須藤は一生分の「幸せ」と思っていたに違いない



幸せって何だろう?


きっと須藤にはその時間がすべてだったんだろう。


そんなことを思った。


青砥から送られたネックレス


それを見つけた時・・


青砥は須藤の太さを再確認して


2人の関係がしっかり根を張っていたことを知る


あの日重ねられた頬は


実を結び

花が咲き

そして


朽ちたように見えて・・


しっかりまた種を落としていた。



青砥と須藤はそんな関係のように思えた。



燃えがるような・・


はなくても


お互いを思いやる


静かに根を張った関係


それってなんだかいいなって思った



「須藤」「青砥」って最後まで呼び合った2人


なんかいいなぁ








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秋吉理香子「灼熱」ちょいネタバレ~憎き相手への感情が愛情に変わるとき真実が?!~

2021-01-24 03:15:03 | 

秋吉理香子「灼熱」読み終わりました。


いやぁ~すごい内容でした。


最後の最後まで気が抜けない展開に

グイグイ引き込まれていきます


え~っ!


最後そうなっちゃうんだぁ~。


こういう小説が書ける秋吉さんはすごい!


本当にそう思いました。



主人公の咲花子(さきこ)の心の葛藤の表現力が


本当にすごいです!


自分ならどうするだろう?


自分が咲花子になった気持ちになって

のめり込んでいきました



夫の忠時が


いつの間にか借りていたマンションで


転落死


いつの間にか働いていたはずの製薬会社を辞め


会社を興していた


そして


詐欺を働いていたことが分かる。



夫の死を目撃した第一発見者の話で


自殺では?


そう思われていた。


が・・


第一発見者が殺人容疑で逮捕される。



第一発見者も夫に騙されていた?


その腹いせ?



夫の通帳に入っていた3000万


それは第一発見者から奪ったものだった?!


忠時の初めて知ることに


咲花子は戸惑う


しかし


自分の夫が詐欺をするはずがない!


自殺をするはずがない!


証拠不十分で釈放された第一発見者を


犯人だと思い詰める咲花子


なんとかして証拠を掴みたいと思っていた。





なすすべもなく時は経ち


自分も死んでしまいたいと思うようになる咲花子



自殺サイトで出会う絵里



そこから


咲花子の


久保河内 英雄への


憎しみを背負い


それをひた隠す


新婚生活が始まる



名前も顔も変え


英雄に近づ結婚までこぎつける咲花子


毎日が証拠探しの日々


忠時を殺したと確信している英雄への憎悪


それで押しつぶされそうになりながら


良き妻を演じる



しかし


英雄と暮らしているうちに


英雄の医者としての矜持


患者に対する誠意を持った姿勢


そして


何より自分を大切に思う強い愛情を感じ


英雄にどんどん惹かれてしまう



そんな自分の気持ちに


忠時に対しての後ろめたさを感じ


自分自身が情けなく嫌になってしまう。



愛情が憎悪に勝ってしまう



自分の中で葛藤する咲花子



もう証拠などどうでもよくなっていたとき・・



英雄の妹「亜希子」から


英雄から事件の後預かっていたパソコンがあることを知る。



そして・・


そこには



最後の最後にどんでん返しが待っていた




咲花子の心の葛藤にドキドキ・・



忠時を喪った咲花子


憎しみを隠し英雄を愛するふりをする咲花子


どんどん英雄に惹かれる咲花子



いろんな咲花子に


自分を当てはめその気持ちになってみる。



そして真実が分かったときの咲花子



なんだかやるせない気持ちになった。


英雄が咲花子に焼き付けたもの。。



あなたも咲花子になって


感情のエネルギーを爆発させてみませんか







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山口恵以子「食堂のおばちゃん9 みんなのナポリタン」~進化し続けるはじめ食堂に懐かしのナポリタン♪

2021-01-21 03:52:00 | 



山口恵以子「食堂のおばちゃん9 みんなのナポリタン」読み終わりました。


おいしそうな絵でしょ~。

ナポリタンって日本発祥なんだよね。

家で食べるナポリタン

喫茶店で食べた懐かしいナポリタン


そんなはじめ食堂に通う常連さんたちから

ナポリタンの話を聴き

店のメニューに反映させる。


長く店をやっていると

変えていくっていうことがなかなかできない。


そういう店が多い中で

「はじめ食堂」は長いものの

中身は進化し続けているってすごいと思う



孝蔵が始めた本格的な洋食

そして

孝蔵亡き後高が継ぎ

庶民派の洋食店へ

そして


高亡き後


一子と二三が継ぎ


バイトだった万里が


調理師免許を取り新メニュー開発に勤しむ


はじめ食堂のメニューの幅はぐんと広がった。



常連で料理研究家の瑠美のアイディアや


他の常連さんたちの一言一言に


耳を傾け取り入れていくはじめ食堂



「懐かしいあのナポリタンが食べたい」


パスタではなく・・


トマトソースではなくケチャップの



そんな要望にもしっかり応えていくのがはじめ食堂だ



読んでるとケチャップのあまーい香りが




巻末にはレシピも書いてあるので


はじめ食堂の料理が家でも作れる~



じゃが味噌バターを作ってみようと思ってる私です



今回も料理だけじゃなく


いろんな事件が起きたり



辛いけど温かい話が



著者の山口さんの温かい人柄が


二三の言葉となって表れていた


正しいことでは人の心は救われない


終末医療を行う医者の前で

二三が考えてしまうこと。


そうかもしれないなぁ・・


私もつい共感してしまった。



明るく楽しく


そして


じっくり考える機会も与えてくれる。



このシリーズがますます好きになりました



あなたもはじめ食堂に足を運んでみませんか








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辻堂ゆめ「僕と彼女の左手」~つながっていた運命の手と手。心の傷が二人を引き寄せた?!~

2021-01-15 02:14:29 | 

辻堂ゆめ「僕と彼女の左手」読み終わりました。


前奏・間奏・後奏

とある事故のことが書かれていて


第一曲・第ニ曲・・

と彼女と彼の出会いからその後の流れが書かれている


時田習は大学5年の医大生


屋上で一人過ごすことが多かった。


そんな習の前に突然現れる「清家さやこ」


大学を見学に来たところ迷ってしまい


案内を頼まれる習


年は21歳で教育学部に入ることが希望


音楽教師を目指しているという


突然の頼まれごとに


習は戸惑いながらも彼女のお願いを承諾する。


右足を引きずっていたさやこ


右半身が生まれつき麻痺しているのだという。


図書館につくと

「勉強を教えてください」

というさやこ


習はさやこの気迫に押され


さやこのペースに巻き込まれていく。


そして


ピアノの音に誘われるさやこ


グランドピアノを見つけると


弾いてみたいという。


右手が使えないんじゃ?


習の心配をよそに


さやこは椅子をずらし


左手だけで引き始める。


習は驚愕する!!


左手だけで奏でる彼女の演奏に

魅せられる



左手だけで鍵盤を自在に飛び跳ねて弾く


素晴らしい演奏だった



聴いたことのある曲をアレンジしてして弾く


自己流だというその演奏


趣味でやっているという


その後


学内を案内するだけのはずが


勉強をこれからも教えてほしいと


次回の約束を取り付けられてしまう。


どんどんさやこのペースに引き込まれていく習


いつの間にか彼女に恋をしてしまっていた



和菓子屋を営むさやこの家


その紅葉の包み紙


向かいにあるカフェのマスターは

ピアノのプロを目指していたという


彼女の周りにある環境


それを知る習



そして


その日がやってくる。



習の今でも心の傷になっている


ある事故が起きた日



そして


さやこの言葉が習を救う



私みたいな出会ったばかりの赤の他人に、

こんなに親切にしてくれる人、めったにいないですよ。

だからわかります。その優しさが、時田さんにとっての

『左手』です。



事故によって傷ついた心


でもそれはさやこにとっての右手と同じ


不自由があるから生まれるものもあると



2人は惹かれあう


しかし!


あるときから


習はさやこの「本当」がわかってしまう


さやこの正体とは一体




ミステリータッチにグイグイ惹かれていく


事故のこと

それがどうつながっていくのか?


そこがポイントになります。


不自由だからこそ生まれること


それって素敵な考え方だよね。


傷ついた分人は他人に優しくなれるのかも



習がさやこがそんな風につながっていたとは!!


最後まで目が離せない2人


さやこが


習に声をかけたきっかけが


そういうことだったんだぁ~!


驚きと読み終わった後のほっこり感


読んだだけなのに演奏を聴いたような


さやこの迫真の演奏


ぜひあなたも体験してみてください












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真保裕一「正義をふりかざす君へ」~故郷を捨て逃げた男を元妻は呼び戻す!そこで不破を待っていたのは?!

2021-01-13 02:52:53 | 

真保裕一「正義をふりかざす君へ」読み終わりました。


目に見えない敵というのは

怖いね~!



不破は元妻の親友の弥生から


元妻の「美里」の危機を救ってほしいと依頼される。


依頼というよりは


戦わずして故郷を捨てて逃げてしまった。


そういう後ろめたさを感じていた不破の心理を突いてきた。


と言った方がいい。



美里と7年ぶりの再会となった


その依頼とは


美里に送り付けられてきた


交際中の朝比奈亘と親密に肩を組む写真



朝比奈には妻がいて不倫関係


そして


朝比奈は市長選に出馬する



その恋人のことを思い


この写真が流出しては困る!



そこで元新聞記者の元夫に


この写真は誰が何の目的で送ってきたのか?


それを調べてほしいという。



美里の父の片腕となり働いてきた。


新聞記者という職業を捨て美里の実家の仕事を継いだ。


しかし!


美里の父神永滋が経営していたホテルで


食中毒が出てその少女が死亡


そして


その責任を感じていた三宅が自殺。。


そこに至る経緯に


滋が三宅を殴ったことが公になる!


そして


それをきっかけに事業は傾き。。


神永は衰退してしまう。



不破はそんな何もかもを投げ出し


逃げてしまった。



そういうことになっていた。


しかし


そこには滋と不破しか知らなかった真実が



7年ぶりに故郷に戻った不破を


良く思っていない者たちの反応。。



しかし


大学の先輩で記者時代も面倒を見てくれた


「大瀧」だけは


変わらぬ態度で接してくれた。



・・・と思っていたが



大瀧と会ったその帰り


不破は何物かに襲われ怪我を負う



大瀧が絡んでいるのか?



地元を牛耳っている大瀧



その仕業では?


その後も


何かと妨害が入る。



そして


また新たな写真が美里のもとに



見えない敵に苦戦する不破


とっくにわかっていると思っていた


過去の真実



それを知ったことで美里の弟「和夫」は

不破の味方に


そして


朝比奈にぶつかる不破は


朝比奈の元にも写真が届いていたことを知る。


市長選出馬への妨害か?



そして


美里の依頼と関係なく


真実を追求することを決める不破


自分を襲った犯人にあたりをつけ


そこに立ち向かうが・・


逆に訴えられ


警察に捕まる?!



そこに横たわる故郷のゆがんだもの



捨てた故郷への贖罪のために立ち向かう不破



美里へ届いた写真がきっかけだったが・・


故郷を護るために動くことになる不破



次々に襲い掛かる魔の手



しかし!


実は


不破は大きな計画のもとに動かされていた



正義とは何なのか?


正義を貫くことが正解なのか?



そんなことを考えさせられた。


見えているものだけがすべてじゃない。


実は見えないところにこそ大切なものがある



そんなことを思った。



結局傷つかずには真実にはたどり着けないんだろうなぁ。



サスペンスタッチで迫ってくる恐怖


自分がもしこんな風に狙われたら?


そう思うと怖い。。



実は自分の知らないところに潜んでいるかも













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