重松清「きみ去りしのち」読み終わりました☆
重松さんの作品は
読み終わった後気持ちが温かくなります
この本
タイトルだけ見ると
すごく重い感じもするんだけど
読んでみると
確かに悲しい出来事はある。
だけど
その次に続くものがしっかりと描かれてる
そして
重松さんの作品は
押しつけがなくていいです
こうでもいいんだよ。
こうじゃなくてもいいんだよ。
そう感じて
気持ちが
すーっと軽くなります
人の「死」それを通じて
残された人がどうそれを受け止めて
どうその後を生きていくのか。
他人から見たら・・
「それはちょっと違う」
そんな風に思えたりもする。
その人にしかわからないこと。
でも
本人にとっては
それでいい。
そういうこともある
セキネは
1歳の誕生日を迎えて間もない息子
由紀也を亡くす。
それは突然だった。
夜中に気づいた時には
由紀也の小さな心臓は止まっていた。
そのとき一緒にいた妻「洋子」も気づかなかった。
そんな風に突然死んでしまった由紀也。
息子のいなくなったことで
夫婦の間に溝ができてしまう。
なぜ・・
気づかなかったのか?
もし・・
そのときこうしていたら・・
由紀也は助かったかも。。
そんな
なぜ?
もし・・
それを繰り返す
セキネと洋子。
由紀也が生まれて3人になり
また
由紀也がいなくなって
2人になった。
元に戻っただけ・・
だけど
「由紀也がいなかった頃の2人には戻れない」
その存在は
亡くなっても消すことはできない。
そして
2人でいることで
由紀也のいなくなった空洞は大きくなって
2人を苦しめる。
由紀也が死んでから
夫婦は向き合うことを避け・・
2人でいることを避けるようになる。
セキネは自分を責める。
そして
由紀也がいなくなったことで
10年前に別れた妻との間の娘「明日香」に
会いたいと思うようになった。
前妻の美恵子とは
憎み合って別れたわけじゃない。
美恵子がもっと自分が幸せになるための
離婚だった。
友人を通じて美恵子に会い
近況を知らせたいと伝える。
しかし
待ち合わせ場所に来たのは
美恵子ではなく
娘の「明日香」だった。
父親を「セキネさん」と呼ぶ明日香。
5歳で別れた娘との10年ぶりの対面を果たしたセキネ。
その後・・
明日香が電話をかけてくる。
セキネが一人旅に出ることを告げると
一緒に行きたいという。
そこから
セキネと明日香の交流は始まる。
10年の空白のある父と娘。
その関係は微妙だ。
娘は父を「セキネさん」と他人行儀に呼ぶ。
旅の宿でも部屋は別々。
宿の人に聞かれれば
デビュー前の演歌歌手とマネージャーと答える明日香。
そんな明日香の話に合わせるセキネ。
いつもそっけなくセキネに接する明日香。
でも
なぜかセキネはそれを
心地よく感じていた。
セキネが由紀也を亡くしたことで苦しんでいた
それが
明日香との交流によって
抜け出せるきっかけになる。
その旅は何度か繰り返される。
そして
前妻の美恵子の病気
それが
妻洋子とセキネにとって
大きな転機となる。
息子がいなくなって・・
会わなかった娘との交流が始まり・・
そして
娘は母を失うことになる。
旅先で
セキネと明日香は
いろんな人の人生を知る。
その人にとって大事な人
それを失うことの大きさ重さ
だけど
誰もがそれを受け止め
前に進んでいる☆
明日香との旅・・
それはセキネにとって
自分も
由紀也の死を受け入れ
前に進むたの旅になっていく
人が亡くなる
ということは
「無くなる」ことじゃなく・・
誰かの心には
生き続けるんだということ
そんなことをこの本に教えてもらった気がします。
「死」を受け入れて
そして
心にしっかりと抱き
生きていくこと。
その人の「死」を生かしていくこと。
大事な人を失って・・
立ち直っていくのは
それを心に刻むこと。。
なのかもしれないなぁ。
そんなことを思いました