読書って楽しいね♪

好きな作家は東野圭吾さん☆他の作家さんのもいろいろ読んで感想を書いていきたいと思います♪

本田壱成「水曜日が消えた」~水曜日の世界を初めて感じる「僕」そこから「僕」は変わっていく☆~

2020-04-30 02:59:47 | 
本田壱成「水曜日が消えた」読み終わりました。


中村倫也主演で映画化もされたらしいこの作品


タイトルが引き付けるよね~!


水曜日が消えたってどういうこと?



読んでみると


「僕」は曜日ごとに人格が変わる


「周期性人格障害」


7人の別人格を曜日ごとに入れ替わり生きている。



主に登場する「火曜日」の「僕」


それぞれの曜日が特徴的な個性を持つのに対し


「火曜日」は特にこれと言った特徴もなく


火曜日をただ漠然と生きていた。


もっぱら他の曜日の人格と関わるのは


メモで伝達するくらいで


特に興味も持たなかった「火曜日」


しかし!


ある日の朝目覚めると・・


それは



水曜日だった



そして


初めて目にする水曜日の世界で


火曜日の「僕」は


恋をする



いつも閉まっている図書館も


水曜日は開いていた。


そして


そこで働く「瑞野さん」に


火曜日の「僕」は惹かれていく。



たまたま水曜日に目覚めた火曜日君


水曜日を生きたくなってしまう。


そして・・


居なくなってしまった水曜日



そこから


火曜日の「僕」の奮闘は始まるのだった。




鏡と花弁と灰色の世界



そんな夢をいつも見る「僕」


そして


火曜日の「僕」に関わってくる


事情を知っている一ノ瀬


いつも


「幸せになれよ」と頭をなでる


一ノ瀬の存在が


その夢の世界と重なっていく。


壊れた豚のキーホルダー


そこに隠された



「僕」の秘密



関わろうとしなかった曜日ごとの自分の姿


水曜日に目覚めることで


それぞれの生きている世界に思いをはせるようになる。



そして・・



僕は


一人になろうとする。


だけど・・


そこには障害が!!



主治医の隠蔽?



曜日ごとの人格は自分が選び出したことだった?



戦うことを止め


共存することを選んだ「僕」




それぞれの人格が入れ替わり


それぞれの記憶がない。。



脳の不思議



思い出したくないことを


脳の奥深くへしまい込む



それも無意識に?


自分がもしそうなってしまったら・・


自分はどうするだろう?



そんな人ともし


関わったら・・


自分はどうするだろう?



そんなことを考えさせられた。



瑞野さんが話す水曜日への恋心


それを聞く火曜日君の


切ない思い。。


同じ自分なのに


自分に嫉妬する気持ちとは?


複雑だよねぇ。。


一ノ瀬の正体を知ったとき


一ノ瀬の気持ちを考えると


どんなに辛かっただろうと。


自分の幸せを願ってくれる人がいる


それだけでも救われるよね。



これを読んで


映画も見たらどんな主人公を演じてくれるのか?


中村倫也にも期待してしまう。











  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」~思春期の少女の心と体のアンバランスさが開発中の街とリンクする!?~

2020-04-19 02:50:31 | 
村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」読み終わりました。


タイトルに惹かれて読んでみることになった。


開発中の街と


思春期の少女の心と体の未完成な危うさ


それがリンクしていた。


主人公の結佳は


冷めた目でクラスメートたちを見ていた。


自分の立ち位置を上手く確保して


それなりに無難に日常を熟していた。



しかし


そんな自分をどこかで嫌悪していた。



「特別」になりたかった。


でも


なれない自分に。



開発中のしろいばかりの中途半端な街を


「嫌い」と言った。


でもそれは本心ではなかった。


反発することが


美徳と感じられたから。



習字教室で一緒だった


同級生の「伊吹」



子供で頼りなくて


そんな伊吹を


「おもちゃ」と言った結佳



そして


自分は何でも知っている。



背伸びした気持ちが


伊吹をそう呼ぶ。



結佳は


伊吹に「キス」というものを試みる。


でも本当の「キス」を知らない結佳は


それとは程遠いものを体験する。


舌をくっつける


「溶けたガム」のようなものを。



結佳と信子と若葉は親友だった。


その関係が


だんだん変わってくる。



中学生になって


クラスで順位付けされたグループ


そこで


格差ができる。


それによって


ねじれた関係が生まれる。



自分は手を汚さず無難に立ち回っていた結佳



自分の体が・・


顔が嫌いだった結佳



その鬱積された気持ちが・・


伊吹へのいけない行為へ向かわせる!!



いつまでも「おもちゃ」ではない伊吹



拒絶。。



結佳へ本心を聞く伊吹



真っすぐな伊吹の気持ちが



まぶしく・・



ますますゆがんでいく結佳



不格好で・・


いびつな体



そして


どう表現していいかわからない心




あ~自分もこんな時があったなぁ。



そう思い出す。



クラスでの女子の微妙な友達関係


どこかで冷めて見ていた自分



本当は露ほども共感できないのに


友達という名のもとに


合わせていく自分



全然楽しくない。。


本当の自分はこんなんじゃない!


そう思っていた。


偽物の自分が


嫌だった。。



そんなことを思い出した。



伊吹への気持ちを真っ直ぐに伝えられなかった結佳


そこだけは私と違ってたけど。



開発途中の街で


何度も小学校を変わった自分



その度に


新しい友達を作らなければかった



頑張ってきたなぁ~自分!



もうその街ともすっかり疎遠になったけど(^^;




そんな昔を思い出し苦笑しながら夢中で読んでしまった。



開発中の街と


未完成な少女の心と体


それをリンクさせて


実に見事に描かれている作品だと思いました。


ちょっと衝撃的な場面も多々あるけど


結佳の変わっていく様子をじっくり味わっていただきたい。


そんな1冊です






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

凪良ゆう「流浪の月」~他人に作り上げられた偽物の関係。誰からも理解されなくても2人でいれば幸せだった~

2020-04-18 02:51:04 | 
凪良ゆう「流浪の月」読み終わりました。

この作品は2020年本屋大賞受賞作品です。

それを見て読んでみたくなりました。


何といっても

帯の言葉にググっと引き寄せられました。


せっかくの善意を、わたしは捨てていく。

そんなものでは、わたしはかけらも救われない。

それでも文、わたしはあなたのそばにいたい。



ねっ?

読んでみたくなるよね。



そして

読んでみて

止まらなくなりました。


グイグイ引き寄せられる内容に。


そして


読み終わってからの余韻もすごい!


こんなに読み終わった後も

ずっと考えてしまう作品って珍しいかも。



更紗が抱えていたもの


そして


文が抱えていたもの



誰にも言えない


そのことが2人を引き寄せる。



「うちにくる?」


文の言葉にうなづいてしまう更紗



友達からは近づかないほうがいいと言われていた


危険人物とされていた若い男「文」


それなのに


更紗はついていく。



更紗が文から感じ取った何か


文が更紗から感じ取った何か


それが2人を引き寄せる。



そして


19歳の大学生と9歳の少女は


2か月一緒に暮らすことになる。



大好きだった父を喪い。。


大好きだった母を失い。。


更紗の生活は一転


夜の足音におびえることになる。



誰にも本音を言えず・・


心を隠さなければならなかった。


晩ごはん代わりのアイスクリームも


我慢しなければならなかった更紗



しかし

文には言えた。


本音を言って


それを


受け入れてくれた文



更紗にとって


文との時間は


最高に安らげるものだった。



また


文も


母親の育児書通りの生活を


更紗がいることで


少しずつ変えていく。



表情が乏しく

感情を表せない文


それが更紗によってほんの少し変わっていく。



2人は穏やかなときを過ごす。



しかし!


別れは突然やってくる。



引き離された2人



それは


他人が


勝手に作りあげたストーリーによって


加害者と被害者になってしまったから。



どんな言葉で文を擁護しても


9歳の更紗から発せられる文を求める言葉は


「洗脳」


として片付けられてしまう。。



引き離された2人



しかし!


時はどんなに過ぎても・・


更紗は文を


文は更紗を


求めていた。



でも


それは


男女の愛ではない。



2人だけに分かる


特別な関係



お互いに


お互いを


「憎んでいる」


だろう


そう思っていた。



会いたい・・


でも会うのが怖い。。



そんな2人は


15年の時を経て再開する



しかし


それがまた


2人にとって


試練の連続になる




加害者という文についた烙印


被害者という更紗に寄せられる


同情という名の好奇の目



他人が作り上げていく


2人の偽物の関係



どんなに言葉を尽くしても・・



他人には理解されない。。



人の善意が


更紗の前では


決して渡ることのできない川になる。


絶望になる。。



そして


2人は



最後の最後に明かされる


更紗の知らなかった文の真実



それに読者も驚かされる



幸せって何だろう?


結局自分が幸せだと感じることが


その人の幸せなんだろうと思う。


他人から見たら


「不幸」だと思うことでも。


他人はたびたび自分の物差しで測ろうとしてくる。


その人は「善意」と思っても


受け取る側には


「おせっかい」としか感じられないこともある。



更紗の本当は全部わからなくても


部分部分に


他人と関わることの辛さ


疎ましさ


そういうものが


「わかる」と感じる。



人に通じない言葉を紡ぐことの


無力感


絶望感


そういうものが


私にもわかると思ってしまった。



大多数の人が決めた常識


常識って何だろう?


自分の人生なのに


自分を殺して生きていかなければならない不自由さ


それを感じている人はたくさんいるんだと思う。



あなたも・・


あなたも・・


そんな殺してきた心が


これを読むと


救われた気がするんじゃないだろうか。



私がそうだったように。



いろんな愛の形があっていいと思う。


たとえ


2人だけにしかわからない愛だとしても。





凪良さんの丁寧に丁寧に描かれている人の心情


その表現力にグッと引き付けられました。



ぜひ読んでほしい1冊です。


書店員じゃないけどおススメです















  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東野圭吾「クスノキの番人」~突然現れた伯母に戸惑う玲斗。そして「クスノキの番人」をすることの意味を知っていく!

2020-04-08 03:38:49 | 
東野圭吾「クスノキの番人」読み終わりました。

これは圭吾さんの

作家生活35周年記念作品になります。


おぉ!もうそんなになるんですね~。


私が圭吾さんを知ったのは

12年ぐらい前だから。


そんなに長い間作家として第一線で活躍されている。


それだけでもすごいことだよね。


そして


その作品たちが


読んだ人の心に


ずっといつづける☆



そんな圭吾さんの作品をこれからも読み続けたいです^^



・・・と話はそれましたが



この「クスノキの番人」は


35周年にふさわしい作品だと思いました。



人と人が結びついている


血のつながりってなんだろう?


血がたとえつながっていなくても


強い絆はできていくもの



人の思いは


大切に思う人に必ず伝わっていく



そんなことを教えてくれた作品でした。



自分は大したことない人間


そう思ってきた玲斗


しかし


ある事件から救ってくれた


会ったこともない伯母


そして


伯母に関わっていくことで


玲斗は自分を卑下したことを


間違っていたと思うようになる。



どういういきさつでこの世に生まれたとしても


そこからどうなっていくかは




自分次第



そう


伯母の「千舟」は教えてくれた。




柳澤グループの父亡き後


結婚もせず子供も持たず


会社に心血を注いできた千舟



そして


代々受け継がれた「クスノキの番人」を務めてきた。



その大役を


玲斗が受け継ぐことになる。



「クスノキ」の秘密



満月と新月の晩に交わされる


「預念」と「祈念」



そこには


クスノキだけが知る


人の深い思いが詰まっていた



クスノキの番人をすることの意味


そこで行われる神聖で不思議なこと


それに玲斗は気付いていく



クスノキの番人をすることで


今まで一切交流のなかった千舟と


短い時間でその関係を深めていく



そして・・


千舟のために


自分にできることをする




人はいつからでも変わることができる。



それは自分次第




自分にももっと何かできるんじゃないか?


そう思わせてくれる


勇気をくれる作品でした。



また一つ


私の心に残る名作を与えてくれてありがとうございます。


これからもご活躍されることを陰ながら応援させていただきます











  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする