読書って楽しいね♪

好きな作家は東野圭吾さん☆他の作家さんのもいろいろ読んで感想を書いていきたいと思います♪

雫井脩介「銀色の絆 下」~努力したことが必ずしも報われるわけじゃない世界。でも生まれるかけがえのない絆☆

2022-02-26 03:45:08 | 



雫井脩介「銀色の絆 下」読み終わりました。


いやぁ~

壮絶な戦いでした!


どんなスポーツでも

それにかける本人の努力とか

思いはあるんだろうけど・・


フィギュアスケートが

こんなに壮絶なものだとは

想像していなかった。


「なんで努力しても報われないんだろう」

そうオリンピック選手が言っていた言葉を

思いかえしていました。


そう!


みんな誰もが血のにじむような努力をして

それが結果として結びつき

報われるのは

ほんの数人


それにしたって


それがずっと続くわけではない世界



どんなスポーツ選手も思うのだろう


なんで?


努力してきたことは何だったのだろう?


結果の出せなかった人はそう。



でも

これを読んだら

その答えはあるように感じた。


思っていた形とは違うけど

でも積み上げたものは

他のかけがえのないものとなって

ぜったいに残っていくものなんだって。



苦しい思いをして


乗り越えた人にしか見えない世界


それがきっとそこにはある



そう思えるんです。



フィギュアスケートを通じて

母「梨津子」と娘「小織」


この2人の絆は強力になった



時には


鬱陶しく


「ほっといて」


と思うこともある母の愛



だけど


振り返れば


母のおかげで


小織は力いっぱいそれに向き合えた



小織に合うコーチを探し


お金を工面し


小織のために


自分の時間と労力をすべて使った梨津子



そして


その中で


「私が教えていて一番驚いたのは、あなたのお母さんの成長です。」


そう小織のコーチ「美濤」に言わせてしまうほどの変化を見せた梨津子



他の選手を叱りつけてしまう梨津子


本気で向き合うから


その子の母の気持ちが分かる



そして


その子の努力が分かるから


何とかしてあげたいという気持ちが


「叱る」と言う行為になる



才能を持っている「希和」


でも時には


大人の世界の脈絡に引き込まれ・・


バランスを崩していく。。



なんて難しい世界



そこで生きていくには強靭な精神力が必要になる



大切なものをうしなう希和



でもそれバネにして立ち上がり


さらに飛躍する



なんてすごいスポーツなんだろう



読みながら手に汗握り


「がんばれー」


そう応援している自分



オリンピックを見ているより


張り詰めた緊張感!



これはすごいっ



目の前で繰り広げられる演技に


魅了されていました



血と汗と涙と・・


そんな努力が


人を感動させ


唯一無二の絆を作る



そんなお話に立ち会わせてもらった私は


幸せ者です



こういうお話はいろいろあると思うけど


ここまで頭の中でにリンクができて


選手たちの演技が繰り広げられるのは


雫井さんの手腕なんだと思います。



結果を出せなくても腐らずに努力していくこと

その大切さを教えてもらった作品でもありました。



本当は見えないところにこそ


大切なものは隠れているものなのかもしれませんね

















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雫井脩介「銀色の絆 上」~本人より母親のスケートと子供への情熱がすごいっ!~

2022-02-24 03:11:12 | 



雫井脩介「銀色の絆」読み終わりました。


いや~正にタイムリーな本でした。


先日閉会式を迎えたばかりの冬季オリンピック


氷上のアスリートたちの熱い演技を見たばかり


それでこの本を読むともっとフィギュアスケートが身近に感じられた


あの演技の裏には


こんなことが積み重なっているんだなぁ~


と思うとまた違った見方ができる。



他のスポーツももちろんそうなんだろうけど


これほど他の人の協力なくしては成り立たないスポーツは


なかなかないだろうと思った。



特に親の協力なくしては成り立たないスポーツなんだなぁと。



まず


お金がハンパじゃなくかかるので


経済力がなくては続けることは不可能だ。


そして


親の子供へかける時間


これがまた必要だという事



それをあらためてヒシと感じました



親のスケートと子供への愛情


これなくしては成り立たないスポーツなんだと



小織が好きで始めたスケート


母の梨津子は趣味程度に思って習わせていた。


小織のスケートの興味より


付き添いの母親たちとのおしゃべりに興じることに


重きを置いていた。



しかし!


コーチの妊娠を機に


一気にスケートへの情熱が上がっていく


小織のスケートの才能


そして


新しいコーチへの期待



他の母親たちの子供たちへの情熱



それにどんどん引き込まれていく梨津子



その裏には


夫の浮気と離婚



そういうことも情熱を一気に加速させることになる




所属するクラブやコーチへの料金


靴に衣装代


振付代


遠征費



まぁ~なんとお金のかかる



終盤の養育費が滞ったときの


梨津子の葛藤は手に汗握るものに。。



氷上の輝きは


血と汗と涙の結晶でできてるんだ



これを読んだらそう思ってしまいます。



小織が大学生になって

自分のスケートを振り返り友に話す。



その場面と


母の梨津子の葛藤が


交互に織りなすお話



小織側の感情と


梨津子側の感情が


手に取るようによくわかっていきます。



友の千央美が小織の話にどんどん引き込まれていく感情


それは正に読者の感情と一緒です




今この時!


ぜひぜひ読んでもらいたい作品です。



さて「下」に突入~っ!












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北國浩二「嘘」~嘘が認知症の父と息子を亡くした娘の頑なな関係を溶かしていく☆~

2022-02-18 03:01:41 | 



北國浩二「嘘」読み終わりました。


読み終わった後も

じんわりと心が温まったままです


犯罪は駄目だよ。


嘘もついちゃいけないよ。


でも


これを読むと


そういうこともあるのかもしれない。


そんな風に思えてしまう。



きっかけは


父の認知症が悪化したことだった。


父と疎遠になっていた娘を


故郷の友が呼び寄せた。



父「孝蔵」とは


ずっと疎遠だった「千紗子」


国語教師をしていた父は


いつも厳しく


千紗子の結婚も許さなかった。



自分の思い通りにしたかった娘


でもその通りに行かない娘を


父は受け入れられなかった。



・・・と


千紗子はずっとそう思ってきた。



息子の誕生も・・


息子の死も・・


何もかも父は受け入れなかった。


そうなのだと。



そんな千紗子が父の面倒を見ることに


快く思うはずはなかった。


認知症の父は千紗子のことも娘と分からず・・


相変わらず横柄な態度で接してくる。



早く介護施設に入れてお役御免になりたいと思っていた。



息子の純を喪った悲しみや喪失感が


未だに抜け切れずにいた千紗子


夫ともそのことがきっかけで離婚してしまう。



そんな千紗子に転機が訪れる!


役所の福祉課に勤める母子家庭で息子を育てている「久恵」


久恵と久しぶりに飲みに行くことになる。


その帰り


飲酒運転の久恵の車に同乗した千紗子


飛び出してきた少年に当たってしまう!!



職を失うのが怖い久恵は


警察や救急車を呼ぶことを拒む



少年は意識を失ってるものの


怪我は大したことない。


とりあえず千紗子のところに連れて行き手当てする。


少年の寝顔に


純を見てしまう千紗子


目覚めた少年に声掛けするも・・


少年は記憶を失っているようだった。



そして


そこから千紗子と偽りの親子関係が始まる!



どうやら少年は川に落ちたらしく


両親が探しているという。



少年の体にはあちこちに煙草の火を押し付けられた痕


そして


足首にはロープの切れた物が結んであった。



親に虐げられていると悟った千紗子は


この子を親元に返してはいけないと思う。


そして


自分にもこの少年が必要だと思う。



少年を自分の子供「拓未」だと言い聞かせる。



少年も次第に千紗子に心を開き



孝蔵とも打ち解けていく



そして


何より拓未がいることで


父と娘の関係も優しいものになっていく




嘘でつながる家族



でもそこには



優しい絆



が生まれていた。



親に愛されなかった少年が


親に愛されていなかったと感じていた娘に


父の本心を見せる鏡の役割をしてくれた



父が感じていたこと


本当は娘を愛していたことを




そして・・


幸せだった家族に


ある日訪れる悲劇




父と娘は?!


娘と少年の親子関係は?!



最後までハラハラドキドキしながら・・


そして


人間の心の奥深さ


そして


人間の脳の不思議



いろんなことを考えさせられた。




私の父も認知症なので


他人事とは思えず


興味深く読ませてもらいました。



父が娘に素直に言えない本心


父にもそういうことがあるのだと思いました。


私もあまり父とは話してこなかったからなぁ。



今父はどんなことを思っているのだろう?


なんて考えてしまいました。



どうして神様は


子供が本当に必要な親から子供を奪い。。


子供を道具としか思っていないような親に


子供を授けるのでしょう。。



理不尽だよなぁ~。



子供は愛されるために生まれてほしいですよね



最後の最後に明かされる嘘



それもまた心が動かされます














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山口恵以子「食堂のおばちゃん11~夜のお茶漬け」~お店の顔になった万里☆しかし!もっと高みを目指すことに?!

2022-02-14 03:46:05 | 



山口恵以子「食堂のおばちゃん11 夜のお茶漬け」読み終わりました。


食堂のおばちゃんシリーズももう11なんですね~。


あらためてすごいなぁ~って思った。


進化し続ける「はじめ食堂」


本格的なフランス料理から


みんなに親しまれる洋食屋へ


そして


姑と嫁が仲良く始めた


ウチのごはん的な「はじめ食堂」



愛される店は変わらないものの


様式は変わってきた。


そこへ


ニートだった万里がはじめ食堂を手伝うようになり


そこからまた進化した「はじめ食堂」


万里の料理の手腕


そして


新しいものを考え出す力!



それによって


メニューはどんどん進化していった。


調理師免許を取得し


はじめ食堂のすっかり顔になった万里



しかし!


今回


万里にとって心境の変化が



料理人として


もっと高みを目指したくなってしまった



すっかり万里に頼ってしまっていた一子と二三


でも

万里の成長を願う2人でもあった。



旅立ちの後・・



どうなる?はじめ食堂!!



でも


今まで成長してきたはじめ食堂は


新たな危機もまた乗り越えて


きっと進化していける



読者はそう信じています。



新たな新メンバーも登場するのでお楽しみに



・・・というわけで


今回もいろいろな問題は出てくるけど


一子や二三はどんなことも乗り越える



その人の生き方


それをいつもこの「食堂のおばちゃん」シリーズは教えてくれる。


それは


著者の山口さんの生き方でもあるんだろうと感じます。



いろんなことを乗り越えてきた


だからこそ書ける作品なのだと。



ニラとしめじの炒め物


私にもできそうなので早速作りたくなりました。


鱈のソテーも挑戦しやすそうだな


ホテルの目玉焼きにも惹かれました


巻末にレシピもついていて


とってもお得なこの小説


読まない手はありませんよね


読めば心もお腹もほっこり温まる



今後のはじめ食堂にも期待しています










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乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿3」~井上の素顔発見☆古谷の告白?!~

2022-02-10 03:49:28 | 



乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿3」読み終わりました。


久しぶりに出版されたこの「3」


カラット探偵事務所を


同級生の古谷が井上のために?開設し


井上をたった一人の所員に迎え


謎解き専門の探偵として謎を解く古谷の


相棒としても井上は重要な役割を果たす



井上が探偵事務所に持ち込まれた依頼を

古谷が解決していく様を

事件簿としてまとめ上げた



それがこの「カラット探偵事務所の事件簿」

となっている。



井上が15年の時を経て

事件簿をまとめ上げた


これが「3」になっている



いつもながら事件をスイスイ解決してしまう


古谷の切れのいい謎解き


しかし!


合間に入れてくる依頼人には理解されない


ダジャレ


井上だけが理解し心中で毒づく!


そこがまたこの小説の読みどころ



そして


古谷の井上への思い


井上もまた古谷を思う気持ち



それを表に表すことが苦手な2人が


行き違って・・


でも


なんと!


依頼人の前で


古谷が井上に告白



本人抜きの場で



まぁその辺はこれを読んでみてください



そして


乾さんらしい


トリックが隠された最後の事件



井上の筆力として魅せてくれますよー



今回


井上の魅力が溢れている


「遊園地に謎解きを」


私はこれが一番印象に残り好きな謎解き事件でした



遊園地ではしゃぐ井上


古谷と2人で乗る事ができると喜ぶ井上


そして


はしゃぎすぎて乗り物酔いする井上



今までで一番井上の素顔の魅力が見られて


かわいかった



「秘密は墓場まで」


見覚えのない女子学生が墓参りに

その墓に入っている父の隠し子か?

娘が女学生の正体を知りたがり依頼してくる。



「遊園地に謎解きを」


遊園地の人寄せのために

謎を考えることになる古谷


ここでも古谷の謎解き脳が大活躍☆



「告白のオスカー像」


クリスマスプレゼントにオスカー像をもらい

告白された依頼人

正体の分からない告白に古谷が相手を割りだしに挑む!

が・・意外な結末に!



「前妻が盗んだもの」


別れた妻が留守中に部屋を訪れたらしい

しかし

なくなったものが分からない。


その者と目的は何なのか?


古谷が謎解きに乗り出す。



「次女の名前」


夫が事故死する


次女が生まれたその日に。。


夫が考えていた名前のところに


消した後が。。


妻はこの名前を知りたがった。


古谷の推察はいかに?



「真紅のブラインド」


中が見えないようになっていたブラインドが


逆向きに開けられて中が見えるようになっていた!


誰が?

除き魔?


古谷の謎解きで以外な事実が!!



「警告を受けたリーダー」


ご当地アイドルのセンターが

脅迫される!!


イエローカードに書かれた脅し


しかし!


ココには「愛」があった


古谷は謎解き場面で


まさかの告白?!



さて・・


この続きは小説を呼んでご確認を



魅力いっぱいの古谷と井上をご堪能ください















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